2455.【5】 ページ5
［潤side］
視界の中に俺ら4人が
いないと落ち着けない智にぃ。
智「…っ、しょう？翔どこ？」
雅「外来の時間なんだって。病院の中にいるから
大丈夫でしょ？」
智「…っ、んっ…戻って、きて、ほし…」
雅「12時になったら休憩だから。それまで俺らと
待ってよう？翔にぃのこと、必要としてる患者さん
いるから…。ね？」
智「…っん、んくっ…」
病院内にいると分かれば、追加で薬がなくても
何とか落ち着ける。
だけど誰かが外に出ていると分かると…
智「…っ、んっ、戻って、きて…」
翔「大丈夫。無事に職場に着いたって連絡
きたから」
智「…っん、や…やだ、こわ、い…」
翔「恐くないよ」
取り乱してしまって落ち着けない。
カ「どうかな？」
翔「ずっとこの調子で…」
カウンセラーが様子を見にきてくれたけど
ベッドで丸くなって、ただ震えて泣いているだけ。
和「さとにぃ…」
「智にぃ…大丈夫だからね」
和と俺で背中をさすったり、頭を撫でたり
してるけど、意味があるのか…ないのか…
カ「少しだけ追加で入れてあげてもいいかもね。
体の力が少しでも抜けたらラクになると思うから」
翔「はい…お願いします」
カウンセラーの言葉に頷いた翔にぃは、智にぃに
優しく声を掛けながら伝えてくれて。
点滴の側管から薬を追加で入れてもらう。
智「…っ、んくっ、…雅、紀…」
翔「大丈夫だよ。雅紀は今頃きっと担当の動物の
世話をしながら笑ってる」
和「そうだよ、智にぃ。もしかしたらマリオの
世話、してるかもしれないよ？」
智「…っ、ん、ん…」
「後で写真、送ってもらおうね」
恐いっていうマイナスの気持ちを少しでも
忘れられたらって思うんだ。
「喉渇いたんじゃない？一緒に飲む？」
和「ふふ…俺、りんごジュース」
自分より先に答える無邪気な和を見て、口角を
少し上げた智にぃ。
智「…くふ、ぶどう、もらう」
「ん、ストローさすね」
智「ありがと…」
薬のお陰が大きいけど、カウンセラーは「みんなの
力だよ」って言って笑ってくれる。
ジュースを飲んだらいくらか落ち着いた智にぃ
だったけど、時間が経つと後戻り…
智「…っん、んっ…、んっ…」
体を震わせながら泣いてる。
「大丈夫…智にぃが守ってくれてるから」
智「…っ、んっ…こわ、い…」
和「恐くないよ、みんな一緒だもん」
背中をさすったり、髪の毛に触れたり。
とにかくみんなで温もりを伝えて、傍にいる。
約束するから…
ね？
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
