2007.【7】 ページ7
［智にぃside］
「よかったね、かず…。
先生が持ってきてくれたよ？」
和「…っ、んっ…、…や」
「ふふ。ありがとうございます…だろ？笑」
先生と一緒に、保冷剤を和の体に当てる。
最初は「翔先生」って呼んだり「嫌だ」って
拒否していた和だけど…
和「…りがと…、…んせ、…」
お礼を言うことが出来た。
そんな和を見て先生は「やっぱり最高に
可愛いよな」って頭を撫でてくれた。
和は先生を信頼しているから、怖がらない。
もし本当に、翔が担当医をやめることになったら
先生にお願いしたい。
そんなこと考えたりもしたけど…
和「…っ、…ょ、にぃ…」
翔を求めて泣く和を見てると『やっぱり翔先生が
1番だよな…』って思う。
和「…っ、んくっ…、いつ、くる…？…っ」
「いつ来るかなぁ〜…」
和「…っん、…んっ…」
「会いたいもんね…」
和「…っ、…んくっ…」
「よしよし…おいで。ギュッとしようね…」
今の和には、これくらいが丁度いい。
幼い頃に戻ったみたいに、ポロポロと涙が
止まらなくなっちゃっているから…
ベッドに上がって抱き締める。
ヒックヒックと忙しなく動く背中を
ゆっくりゆっくり、さすっていたら少しずつ
落ち着いてきた。
だけど「俺がいけないこと言った…」って
気にしてるみたいで、そのことを俺に謝ろうと
すると、再び涙が溢れ出す…
そんなことの繰り返し。
和「…っ、…う、もう、言わな、い…から」
「だいじょーぶだよ、かず。翔は気にしてない。
和の言葉に傷付いたんじゃなくて、色々考えて
苦しくなっただけ。ね…？だいじょーぶ…」
和「…っ、んっ…んくっ…」
「よしよし…」
和を救える言葉があるなら、教えて欲しい。
ただでさえ苦しいのに、さらに自分を責めるから
見てるこっちが苦しくなっちゃう…
和が謝らなきゃいけないことなんて
一つもないのに…
「だいじょーぶ…」
翔を求めてポロポロ泣く和を、とにかく宥める。
今は傍にいることしか出来ないんじゃないかって
思うから…
和「…っ、…とにぃ、も…」
「…ん」
和「しょ、にぃも…」
「…ん」
和「まさ、にぃ、も…、…ゅん、も」
「…ん」
和「…んな、いっしょ、が、いい…」
そうだね。
それは俺も思う。
5人で居られることの幸せを、いつだって
感じていたい。
だって、それだけで幸せだから…
和「…っ、んっ…っ、…ょにぃ、きて、ほし…」
「…ん、来てもらおうね…」
そっと背中に手を当てて、落ち着くのを待つ…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
