2041.【4】 ページ41
［あらしside］
『とらうま』
ぼく、しってる。
ぼく、わかる…
だいすきだった かぞくと わかれたひ あらしのひ。
かぜが びゅーびゅー つよくって あめが たくさん
ふってたの。
ぼく そんなひが にがて。
こわい。
はこに いれられて「ごめんね」って いわれた。
「ごめんね」って いみが わからなくて…
ぼくは みんなのこと はこの なかから みつめた。
あのとき おいかけたら よかった…って
たくさん こうかい したの。
あめと かぜのなか ぼくは ひとり。
ひとりぼっちは さびしかった…
だから ぼくは あらしの ひが にがて。
こういうの とらうま って いうんでしょ？
でもね…かず。
かずは ぼくが ふるえていたひに わらってくれた。
かずは いってくれたね…
『あらしが嵐を嫌いにならなくて済むように
俺が、嵐の日を最高な日に変えてあげる』って。
『俺は、あらしと出会えた嵐の日が大好き』って。
かずは とらうま のこと しってたから
ぼくのこと たすけて くれたんだよね…
ぼくが じぶんみたいに とらうまで くるしく
ならないように してくれたんだよね。
「クゥーン…」
だからね、かず…
ぼくも かずの ちからに なりたい。
そばにいるよ…？
ほら…、そばに いるよ。
ぼくが かなしいとき かずが いてくれたから…
和「ふふ…、あらし、ありがと…」
「クゥーン…」
ちがうの。
ぼくが ありがとうなの…
和「あらしは、あったかいね…」
よかった♪
かずも あったかいよ。
和「…した、こわい、けど…」
あたらしい なみだが ぽろぽろ こぼれる。
和「…も、でも、がんばる、ね…？」
「…クゥーン」
おうえん してる！！
ずっと ずっと おうえんしてるよ。
和「…ふふ、くすぐったい…笑」
ほっぺの なみだを ぺろぺろ なめたら
くすぐったいって にげられちゃった。
ちょっと しょっぱいけど がまんしたのに。笑
和「…りがと、ね。あらしのこと、…いすき」
「ウォンッ！ウォンッ！」
うれしくって たくさん ほえたら かずが わらって
「くふっ。しー！静かに！笑」って。
だって だって うれしいんだもん！
ぼくも かずのこと だーいすき だから…
和「こっち、きて…？」
もちろん。
かずは うつぶせのまま ぼくを うでのなかに
かかえこんだ。
それから まくらで なみだを ふいて めをとじて…
「おれ、がんばれる…」って ちいさく つぶやいて
しゃべらなく なった。
しばらくしたらね…？
ねむれたみたい。
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
