2037.【6】 ページ37
［雅にぃside］
『思い出して
くれなくてもいい。でも、傍で笑ってて欲しい』
これが、和が潤に伝えた言葉。
3人が病院に行っている間、和は体調が悪いのに
寝ようともせず「俺が潤にできることって
何なの？」って、ずっと考えてた。
和の中では『潤が病気だとしたら』という不安は
なかったみたい。
自分が原因…って思ってる部分も多いから
『精神的なストレスが原因』って
確信をもっていたのかもしれないね…
潤「それ…痛い？」
和「んーん、これは大丈夫。ちょっと恐いけど…」
潤「じゃあ、ここにいるね？」
和「んふ…ありがと…」
簡易採血器具を前に、素直に不安そうな表情を
した和の手を潤がそっと握る。
翔「なんかさ、昔のこと思い出すね」
潤「ん？昔って？」
翔「潤はさ、和のこと痛いことから守ってたから。
『和に痛いことするな〜』って
何度泣かれたことか。笑」
潤「くはっ…そうなんだ」
翔「懐かしいな。笑」
和「ん、嬉しい ♪ 昔も今も、ずっと潤は
優しいもん」
カチッ…
翔「はい、おわり〜」
和「くふふ…ありがと…」
今ね、潤と和の関係はいつもに増して良い感じ。
お互いに無理しているわけではないし、素直に
甘え合えてるし。
潤「智にぃ〜、俺もやるっ！」
智「ふふ…おいで？」
潤「やった！」
潤は智にぃにも翔にぃにも、もちろん俺にも
上手く甘えてくれる。
今もキッチンに走っていって、智にぃにくっ付いて
夕飯の支度の手伝い。
潤「キャベツの千切り俺やるっ！」
智「ふふ…じゃあ、任せるね〜」
キッチンから響いてくる2人の楽しそうな笑い声。
潤の「くははっ！」って声でリビングまで
明るくなる。
お風呂は「翔にぃと！」ってニコニコで、
寝る時は「雅にぃと一緒がいい！」って
部屋にくっ付いてくる。
「何で寝る時は俺なの？」って聞いたら
「智にぃはすぐ寝ちゃうし、翔にぃは寝相が
悪いから。笑」なんだって。
潤「雅にぃの動物の話、面白いし…
それに雅にぃのこと好きだもん！」
「あひゃ！ありがとうね…俺も好きだよ」
こんなこと、普段はなかなか言わないからね。
貴重かも！笑
そう思いながら「おいで」ってそっと寄り添う。
腕枕しながらiPodで職場の写真を見ながら
話をしながら眠る。
昨日は「俺、いつ思い出せるのかな…」って
呟いてた潤だけど、今日は「思い出せなくても
これからのこと覚えていくからいいの」って。
前向きに進んでいこう。
必要な時、記憶は戻ってくるはずだから…
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
