2033.【2】 ページ33
［智にぃside］
潤の変化に
気が付きながらも、一体何がおかしいのか…
それを突き止められずにいた。
それが分かったのは昼食後の和の服薬の時。
熱が出てグッタリしていた和だけど
「みんなで食べたい」ってきかなかったから
リビングに連れてきていた。
翔「とりあえず、先にこれだけ飲みな？」
和「ん…」
潤「…」
テーブルに並べられた薬を見つめていた潤の
一言。
潤「和、ただの風邪じゃねーの？
薬の量、多すぎじゃない？」
衝撃の一言…
不安も募る…
確かに薬の量はいつもより多い。
風邪薬が1錠増えただけだけど…
でも…今さらそんなことを指摘するなんて
明らかにおかしい。
もちろん、和の顔も不安で染まっていく…
それでも翔が「いつもの薬もあるからな」って
冷静に返してくれた。
もしかしたら、これが賭けだったのかもね…
潤「…」
黙って少し和を見つめた潤は
不安そうに瞳を揺らしながら「いつもの…
薬って…？どういう意味…？」って
言葉を詰まらせた。
翔「…」
その場にいたみんなが言葉に困る…
どう対処するのが正しいのか分からない。
潤「…ねぇ、どういうこと…？
教えてよ…なんで、知らないの俺だけ…？」
答えられないまま時間が過ぎて…
潤の悲痛な声がリビングに響いた。
［カウンセラーside］
「心配しなくていいよ。智くん達が、いつも適切に
動けるのが当たり前じゃない。分からなくて
当然。戸惑って当然。ね？」
智「…はい」
かなり落ち込んだ様子で、智くんから
連絡があったのは昼過ぎのこと。
『潤のことで相談したいことがあります…』
『夕方、伺ってもよろしいでしょうか…？』
病院を訪れた智くんと翔くんは「潤の問い掛けに
答えられなくて…不安な思いをさせて
しまったんです」って肩を落としている。
それでも一生懸命に状況を説明してくれて
だいぶ分かってきた。
潤くんから抜けてしまった記憶はおそらく、
和也くんの病気に関すること全部。
大きなストレスがかかったのかもしれない…
「何か、心当たりはあるかな？」
しばらく黙って考えていた2人だったけど
「もしかしたら…あの時かもしれないね…」って
話を始めた。
2人の話によると、1週間前の和くんの例の検査に
潤くんも同行したからかも…って。
和くんがどうしても「潤も」って泣いて
お兄さん達が折れたんだ。
翔「今思えば、あの後から少し元気がなかった
気がします…」
「そうかもしれないね…」
負担が大きかったんだろう。
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
