1860.【5】 ページ10
［潤side］
翔にぃからの約束は
1つだけ。
『点滴をしながら2時間仮眠して、それから
出発しよう』って。
俺が「今すぐがいい」って言おうとしたら
「俺のことも寝かせてくれ。笑」って
頭を小突かれちゃった。
それから翔にぃは「夜中になる前に」って
コーチに挨拶に行ってくれて。
翔「よし、じゃあ点滴しような？」
捲られた腕を消毒されると、点滴が苦手じゃ
なくても、ドキッとしてしまう。
翔「あんまり力入れないで…。笑」
ペチペチと腕を叩かれ構えられる針…
翔「はい、ちょっと我慢な〜」
「…っ、いっ…」
翔「はは！おしまい」
反射的に「痛い」って言おうとしたけど
実際には全然痛くなくて。笑
それよりも、真剣な顔してる翔にぃのが
カッコ良すぎて見惚れてしまう…
たまに不器用さを発揮する翔にぃだけど
俺から見たら、やっぱりカッコいい存在で
永遠の憧れだなって。
翔「よし、固定もおしまい。寝ような」
冷えピタを貼ってもらって、胸元を撫でられる。
恥ずかしいような…
くすぐったいような…
翔「大丈夫…きっかり2時間で起こしてやる。
そしたら新しい点滴パックに替えて
家に帰ろうな？」
「…ん。しょ、にぃも、寝てね…」
ちゃんと伝えられたのかな…
寝ちゃう方が先だったかもしれないな。笑
あんなに興奮していたのが嘘みたいに
俺はスーッと睡魔に吸い込まれた。
［翔にぃside］
潤が眠りに堕ちて数分後…
智にぃから「和は数分前にやっと眠りました。
そっちは、どう？」ってメールがきて。
「…はは！タイミング…笑」
ここまでピッタリだと笑ってしまう。
双子って、やっぱりどこかで必ず繋がって
いるんだなって…
スヤスヤと寝息を立てる潤の頭を撫でて
和を思い出す。
そうすると、潤と和は似ていないのに
顔が重なるから不思議だ…
気が付いたら俺も眠っていて、2時間後にアラームで
起こされる。
「…じゅん？起きられる？」
潤「…っん」
いつもは寝起きの悪い潤も、和の為となれば
やっぱり特別。
飛び起きた潤にパーカーを羽織らせて車まで。
新しい点滴パックに交換して、手すりに吊るして
助手席のリクライニングを倒せば準備完了。
潤「…ょ、にぃ…？」
「…どしたっ？気分悪いか…？」
潤「ん、ん…ありがとう…」
なんだよ、いきなり。笑
思いっきり照れてしまった自分が恥ずかしい…
何とか「あぁ…」って返したけどね。笑
潤「…かずに、早く会いたい」
そうだな。
飛んで帰ろうな。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
