1859.【4】 ページ9
［潤side］
家からの電話で
『和の体調も悪かった』って知って。
「…なせっ、離せっ…」
翔「…落ち着けって。大丈夫だから…」
「…だ、やだ！帰るっ…」
和にだって翔にぃが必要なんだから
意地でも帰ってやる！
そう思って、ベッドから体を起こそうとするのに
翔にぃに戻される。
翔「どんどん辛くなるだけだから…」
「…っ、そんなの、和も、同じ、じゃん…」
翔「同じじゃねーよ？和には点滴もしてきたし
智にぃと雅紀が付いててくれるから大丈夫…」
「…っやだ、帰ら、せろ」
翔にぃは左手で俺の体をベッドに押し返しながら
バッグを手繰り寄せてガサゴソと点滴のセットを
取り出してる。
「…っ、やんないっ…」
翔「ずっと辛いままになっちゃうだろ？」
「…いい、それで、いい…かえる」
掴まれそうになる腕を思いっきり振って
点滴から逃れようと、もがいてみる。
今日は翔にぃしかいないから、固定出来なくて
点滴の針を刺すのは難しいみたい。
「…いますぐ、帰るから、はなせっ…」
翔「点滴させてくれないと、朝帰るのも
厳しくなるよ？」
「ん〜…はな、せっ…」
あんまり我儘が過ぎたら叱られるかなって
思ったけど、翔にぃは俺の頬を両手で挟んで
眉毛を下げて困った顔して…
それから…
そっと優しく笑い掛けてきた。
［翔にぃside］
潤の気持ち、それなりに分かるから…
それでも以前の俺なら、ガツンと叱って従わせて
いたかもしれない。
でも、それは出来なかった…
それが良いのか悪いのかは判断出来ないけど。笑
不満そうな顔をしながらも、不安で瞳を揺らしてる
潤の目を、そっと捉える。
「…じゅん？当たり前だけど、そんなに
暴れられたら、点滴の針は刺せないよ？」
潤「…」
「この体の状態で帰るのは無理。…分かるな？」
潤「…」
「点滴すれば、少しはラクになると思うから。
そしたら、朝イチで帰ろう。な？」
潤「…ん、ん…」
さっきまで反応がなかった潤の首が左右に
微かに動く。
それから口が小さく動いて「今すぐ帰りたい…」
って意思表示してくる。
「少し休まないと無理だよ…
車の中で気分悪くなったら、それこそ帰れなく
なるだろ？」
潤「…ん、ん…」
「嫌だ」か…笑
潤の頑固さって、たまに発揮されるんだよな…
しかも『俺はこうしたい』って思いが強いと、
誰が何と言おうと、それを曲げようとしない。
俺が折れてみるか…笑
「分かったよ、潤。その代わり、ちゃんと
約束はしておこうな？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1314人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
