1890.【5】 ページ50
［和side］
智にぃは、ゆっくりと
俺から体を離しながら「沢山の『もしも』が
あることを考えようね…」って。
『もし、和を助けようとして潤が飛び込んだら？』
『もし、潤のことを友達が止めてくれて
なかったら？』
『もし、助けようとした潤や友達が
一緒に溺れてしまったら？』
智にぃはゆっくりと、俺らの目を見ながら
一つ一つ問い掛けてくる。
智「誰かを巻き込んでしまったら、その家族は
もちろん、自分自身も辛いよね…？」
「…ん、ん…」
翔「潤は、止めてくれた友達に感謝しろよ？」
潤「…っん、ん…」
そうだよね…
俺のとった行動で、友達や潤を巻き込んで
しまっていたかもしれない。
ポロポロと涙が止まらなくなった俺らを前に
智にぃも翔にぃも雅にぃも優しく笑ってる。
智「咄嗟に判断するって難しいけど
時には必要だよね？」
翔「それに、溺れた人がいたとしても
自分の判断で助けようとしたら駄目。
浮くものを探したり、助けを呼んだりした方が
お互いの為だから。な？」
雅「あとね、溺れた時はパニクってバタバタしたら
駄目。じっとしてたら体が浮いてくるから」
和潤「…ん、わかった…」
こんなに沢山、にぃ達にアドバイス
もらっちゃった。
改めて『幸せ者だなぁ』って思う。
ほんとに愛されてるよね。
だからこそ『にぃ達のことを悲しませるのは
絶対にやめよう』って思う。
だって、にぃ達の涙は見たくないから…
和潤「…っ、んっ…、ん…」
思い出すとね、恐くて堪らなくなる…
俺は昨日、バタバタともがきながら『このまま
上には上がれないんじゃないか…』って
思ったから。
潤はきっと、そんな俺を見ながら『このまま
離れてしまうんじゃないか…』って
不安だったんだと思うんだよね…
「…っ、…ゅん、ごめん、ね…」
潤「…んっ、ん…んーん…」
珍しく大号泣の潤を前に、俺は謝ることしか
出来ないけれど…
翔「じゅーん…そんな泣くな。笑」
翔にぃが、頭を撫でながらギュッと潤のことを
抱き締めてくれた。
翔「お前の守りたいもんは、どこにも
いかねーから。…な？」
潤「…っ、ん…」
腕の中のあらしが心配そうに見上げてきたから
「大丈夫」って頭を撫でて、それから潤に
「ありがとう」って伝える。
いつも俺のことを全力で守ろうとしてくれて
ありがとう。
それから…にぃ達も。
俺らのことを守ってくれてありがとう。
そしたら、あらしが「かずも ありがと♪ 」って
鳴いた。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
