1855.【5】 ページ5
［智にぃside］
和「ほら、見て？」
「ふふ…よかったね」
和「ん♪ 」
病院から戻ってきてからは、今朝の様な光景が
広がる。
違うのはゲームの予約書が、ゲームソフトに
変わったことくらいかな。笑
和「一緒にやろ♪ 」
それから片時も離れたがらないとこ。
どこに行っても、俺の後ろをチョコチョコと
付いてくる。
翔「ゲームの前にこれ飲めよ？」
翔がカウンターに置いた薬を指差して「さっきから
言ってんだろ？」って。
和「やーだね」
翔「あ、そう。笑」
勝ち誇ったみたいな笑い方をした翔に、和は
首を傾げて「いいの？」って確認。
翔「お前がいいならね〜。笑」
組んだ腕の後ろから出てきたのは、DSの本体。
和「…あっ、だめ〜…」
翔「じゃあ、飲みなさい？笑」
和が病院を出る時から、大事に大事に持ってるのは
新作のソフトだけだからね。
本体がなきゃ、何も出来ない。
翔の奴、いつの間に取ったんだろ。笑
翔「飲んだら返してやるから。頑張りな？」
和「むぅ〜…」
大好きなゲームの為に、大嫌いな発作止めの薬。
さて、和はどっちを選ぶかね。笑
和「…」
しばらくの沈黙の後…
「さとにぃ…一緒に飲も…？」って、俺の手に
薬を持たせた和。
「一緒に」って言っても、俺は飲まないから
手伝うってことでいいのかな。笑
ソファーに座った俺の膝の上に頭を乗せてきて
お腹にギュッと抱き着いてきたから
背中をポンポンと叩いて寄り添う。
和「…っと、一緒が、いい…」
「ん、そうしようね…」
和「…んだら、ゲームして…？」
「ん、いいよ」
和「…そのあとも、ずっと、一緒…」
「ん。わかった」
不安からくるものだから、今は和の思うように
してやりたい。
傍に居れたら、俺も安心だしね。
和「…ん、あー…」
クルンと上を向いて口を開けてきたから、薬を
少しずつ飲ませてやる。
翔「えらい、えらい。笑」
飲み切った和の手に、DSと口直しのジュースが
渡されたらニコニコって笑って。
素直に「ありがと♪ 」って言葉が出るんだから
可愛いもんだよね。
ゲームしながらも、ずっと上機嫌。
和「…とにぃ？」
「ん？」
和「さとにぃ、すき…」
嬉しくって、照れも忘れて「俺も…」って
後ろから抱き締める。
和の存在は、俺にとって何にも代えられない
かけがえのない大切なもの。
『どうしてこんなに…』って思うくらい
大切で愛おしいんだ。
和「きゃはっ！んふふ…♪ 」
ずっと、そうやって笑っててね…
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
