1889.【4】 ページ39
［和side］
翔にぃの胸元を
掴んだ俺。
この手を離したら、一人ぼっちで真っ暗闇に
落ちていきそうな気がするんだ…
だから…
『絶対に離すもんか』って思いで縋る。
今ここで頼れるのは翔にぃしかいない。
「…っ、こわい、はなれた、くな、い…」
翔にぃはギュッと抱き締めてくれる。
それでね、耳元で何度も言うんだ…
『大丈夫、一人じゃないよ』って。
『見てごらん？誰がいるの？』って。
ポロポロと零れる涙は止められないけど
翔にぃの声を信じて、顔を上げてみる。
「…っ、ん、…と、にぃ」
翔「ん、智にぃ居ただろ？」
「…んっ、まさ、にぃ…、…ゅん、も」
翔「ん。みんな見てるから。な？」
「…ょ、にぃ、も…？」
翔「ん、俺も見てる」
「…ん」
不思議…
手を離しても不安じゃない。
恐くない。
翔「途中で辛くなったら、我慢しないで
このボタン押していいんだからな？」
「ん、わかった…」
スイッチを渡されて、それを握る。
翔にぃは俺の頭を撫でて、それから優しく笑って
検査室の外へ出て行った…
［智にぃside］
検査は10分程度。
その時間は和にとってはもちろん、待っている
俺らにとっても、かなり長く感じる。
潤「もういい？行っていい？」
翔「ん、いいよ。いってやって？」
終了後、真っしぐらに和の元へと向かった潤。
「おつかれさま」って。
「家に帰ってハンバーグ食べような」って。
潤の真っ直ぐな気持ちを受け取った和は
「ふふ…」って小さく笑ってくれた。
涙の跡が残る頬。
真っ赤な目。
汗でビッショリな体。
どれだけのことを頑張ったんだろうと思うと
俺も抱き締めずには居られなくて…
和「…ふふ、さとにぃ、くるしい…笑」
キツく抱き締め過ぎたみたいだ。笑
和「…えれる？」
翔「ん。帰ろうな」
和「やった…」
念の為のCTで異常は見つからず、みんなで
車に揺られて帰宅する。
和「ハンバーグ♪ 」
雅「約束だもんな！」
和「きゃはっ！」
大好きなメニューに心を躍らせる和が
堪らなく可愛くって、愛おしくて…
和「ふふ…だから、苦しいって…笑」
またギュッと抱き締めちゃった。笑
薬のお陰で頭痛も治まってきたみたいだし
楽しい夕飯になりそうだね。
もちろんその夜…
『いっただきまーす！！』
『ウォンッ！』
5人と1匹の元気な声が、我が家には響いた。
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
