1887.【2】 ページ37
［雅にぃside］
翔「ちょっと
脈診せてな？」
和「…っ、んっ…」
「まだ出そう？」
和「…んっ…たい…っ、んっ…」
口元に袋を当てたら頭の痛みを訴えながら
再び嘔吐。
翔「よっぽど強く打ったかな…」
翔にぃが脈を確認しながら和の表情も見てくれる。
和「…っ、ん…たい…」
「…かず？」
潤「かず？」
和「…っん…」
痛みを訴えながら、だんだんと俺らの声に
反応を示さなくなった和。
翔「かず？和！」
和「…」
病院に着く前に意識を失ってしまった…
潤「かずっ！！」
潤が助手席から手を伸ばして、和の体に何度も
触れるけど…
目はギュッと閉じられたまま。
智「潤、大丈夫だから…危ないからシートベルト
して前向いて座ってて？」
運転しながら智にぃが声を掛けるけど
潤は首を振って後部座席に体を乗り出してくる。
潤「…っ、こんな、酷いの見たこ、とない…っ」
スポーツやってると、脳震盪の場面に
遭遇することもあるもんね。
だけど…
酷い頭痛を訴えたり、嘔吐するケースを
見たことなくて知らなかったから不安がピークに
達しているんだろう。
翔「大丈夫だよ、潤。病院に着いたら
ちゃんと診るから。な？大丈夫…」
潤「…っ、んっ、…ほん、と…？」
翔「ん。ほんと。約束する。だからシートベルト
して座っててくれる…？」
潤「…っ、んっ…」
お医者さんの言葉に安心した潤は、ポロポロと
泣きながらだけど前を向いた。
翔にぃは「えらいな」って声を掛けながら
背後から頭を撫でてシートベルトを止めてあげる。
智「ありがとね、翔。頼むね」
翔「ん。」
翔にぃだって不安はあるはずなのに、いつだって
こうやってしっかり安心させてくれる。
存在の大きさに、いつも助けられてる。
智「遠出しなくてよかったね…」
翔「そうだね…」
ほんとは「遠くの海まで行こうか」って話も
出てたんだ。
だけど翔にぃは明日も仕事だし「近場にするか」
ってなって。
遠出しなかったことが不幸中の幸いだね。
やっぱり和にとって病院の存在は
負担でしかないから、少しでも安心出来るところに
連れていきたいから…
いつもの病院でも、高速に乗ってしまえば
数分のロスで済む。
翔「刺すね。念の為、抑えててな？」
「了解」
病院に着いてから、まず始められるのは
点滴の処置。
意識のない和の右手を抑える。
和「…っ、んん…」
嫌いな感覚で目覚めたみたい…
智「だいじょーぶね…」
智にぃがそっと視界を遮る。
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
