1879.【3】 ページ29
［雅にぃside］
和の病室で
モニター音を聴きながら浅い眠りを繰り返す。
翔にぃは「すぐに気が付いて処置出来て
いれば…」って自分を責めて、俺らの前で
珍しく涙を流していた。
そんな翔にぃを潤はポロポロ泣きながら見つめて、
智にぃは「翔のせいじゃない」って
抱き締めてあげて。
掛ける言葉が見つからなかった俺は、和の手を
握りながら…きっと一番先に眠ったと思う。
何度も目覚めて、その度に意識のない和が
目に飛び込んで苦しくなって…
そんなことを繰り返していたら、いつの間にか
昼前になっていた。
ちっともお腹が空かないから気が付かなかった。笑
「何か買ってくるね」
智「ありがとね。お願い」
智にぃの言葉に頷いて、和の手を離そうとしたら…
「…？かず…？かず！！」
微かに握り返された気がして慌てて声を掛ける。
和「…ん、ん…」
薄っすらと開かれた目。
微かに動いた口から発せられた言葉。
『いっちゃ、いやだ…』
胸がギューッと掴まれた様に痛くなる。
まだ全てを思い出したわけではないだろうに…
「かず、おはよう。どこにもいかないからね」
離しかけた手を握り直して、頭を撫でたら
少しは安心してくれたみたい。
目を細めながら他のみんなを順番に見つめてる。
翔にぃが声を掛けながら診察していると…
和「…れ、…る」
翔「…ん？」
和「こ、れ…」
翔「マスク？」
和「と、る…」
酸素マスクを取りたいと言い出し…
翔「あ、まだ駄目だよ？」
和「…り、たい…」
点滴の針にも手を伸ばそうとする。
翔「かず…？泣かなくて大丈夫…」
その後は「帰りたい」「みんなと一緒がいい」
って繰り返して呼吸を乱す。
なるべく沢山、体に触れて「いるからね」って
みんなで伝えて。
翔にぃが少しだけ薬を追加して眠らせてくれた。
翔「一人での発作が、かなり堪えてると思う…」
分離不安の症状が出始めた和を前に
俺らは何をしてあげられるのかな…
潤「連れて帰ってあげたい…」
翔「ん、そうだな。相談してくる」
『病院』って環境から抜け出せれば、それだけで
和の情緒は少し安定するから…
智「お願いします…協力するから」
翔にぃが相談に行ってくれて「夕方には
帰れるよ」って嬉しい報告と共に戻ってきた。
「よかったね、かず。みんなで帰ろうね…」
眠ってる和の頭をそっと撫でる。
少しだけ安心した様な表情になった気がして
嬉しくなる。
一人が嫌なのは、みんな同じ。
だから俺らは5人でいようね…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1314人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
