1878.【2】 ページ28
［智にぃside］
和の体の状態を話しながら
翔は涙を零し始める。
俺が声を掛けるまで、自分が泣いていることに
気が付かなかったみたいだけど…
翔「…っん、また、ひとり、で…」
泣いている自分に気が付いてからは号泣。
和のことを思うと…堪らなくなるんだよね。
それはよく分かる。
でも…
「…翔のせいじゃ、ないよ…」
自分を責めてしまう翔を見てると
今度は俺が堪らなくなるんだ…
だかさ…一人で背負うのはやめよう…？
「…翔？みんなで病院行こう？」
部屋で寝ていた雅紀と潤を起こして
車で病院に行くことに。
今日は土曜日だから、大丈夫…
せめて、目覚めた時にみんなで傍にいてやりたい。
雅「かず？ちょっと揺れるね？ごめんね」
和「…ん、ん…」
雅紀が和を抱き上げてくれる。
そのまま後部座席に座ってもらって、翔は隣で
診察を続ける。
「じゅん？大丈夫だから、一緒にいこうね」
潤「…ん、んっ…かず…」
不安からポロポロと涙を零す潤を助手席に
座らせてから車を走らせる。
走り慣れてしまった病院への道のり。
和が「病院行きたくない！」って抵抗してる時は
近く感じる距離。
だけど今日みたいは時は遠く感じる距離。
そんな不思議な道のりなんだ…
［翔にぃside］
病院に着いた時には和の意識はなくなって
しまっているし、血圧も下がってるし…
正直、あまり良い状態とは言えない。
でも、和の力と、応援する俺らの力が合わされば
何とかなると思ったから…
処置室の前の椅子で待つ3人に「大丈夫だから」って
伝えたんだ。
看「点滴繋ぎますね」
「お願いします」
看護師さんは意識のない和にも「和くん？
恐くないようにするから、ちょっとだけ
頑張ろうね」って声を掛けてくれる。
救急のドクターも「一人で頑張ったんだって？
偉かったね」って頭を撫でてくれて。
この温かい空間を与えてくれる、この病院と
ここのスタッフに感謝しなきゃなって…
「かず…目が覚めたら一人じゃないからな…
一緒にお礼しようね」
意識のない和に声を掛けて、頭を何度も
撫でながら処置を続けていく。
潤「かず…？目、覚めないの…？」
「ん。少し時間かかるかな…」
モニターに繋がれて、酸素マスクを装着した和を
いつものベッドに寝かせながら
心配して寄ってくる3人に説明する。
みんな不安だろうに「ありがとう…」って
笑ってくれて…
その笑顔に俺は安心させてもらえる。
目覚めた和が安心出来ますように…
そっと祈る。
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
