42.【通院】 ページ42
［雅にぃside］
和「やだー、
びょ、いん、かないー」
通院の日は決まって泣いて拒否する和。
だけど、前日から泣いたりすることは
なくなったから、かなりの成長だ…
智「うん、嫌だね。でも今日も痛いのも
恐いのもないよ？診てもらうだけだよ〜」
逃げまわって泣き喚く和を捕まえて
ラグの上で胡座をかいた智にぃは
抱きしめて優しく伝えてやる。
和「せん、せい、やだー！こわ、い…」
智「よしよし。」
和「びょ、いん、こわいー」
智にぃは和の言葉に答えながら
優しく体をさすってやる。
いつも同じ先生と同じ看護師に
してくれてるのに
和は一向に慣れる気配がなくて…
でも、先生もカウンセラーも「いつか必ず
大丈夫になるから、諦めずにやります」って
言ってくれてて…
正直、半信半疑だけど信じるしかない。
もう俺らが頼れるのは先生とカウンセラー
だけだから。
和「もー、やー。おね、がい…」
この世の終わりみたいに泣いて暴れる和を
何とか着替えさせて、車に押し込む。
車の中でも逃げようと必死だから
毎回、後部座席で誰かが挟んで座っている。
だけど、病院に着くと今度は逆。
助けを求めて縋ってきて、簡単には離れない。
「待って、かず。靴脱げた…」
今日は隣に座ってた俺にしがみ付いた。
和「…わい、こわ、い。せん、せ、い
こわ、い…」
先「こんにちはー」
和「ぎゃー」
先「あら、一昨日会ったばっかりだよな。
採血したから、嫌われたかな…笑」
和「こわいー」
先「かずくん、こんにちは。
今日はね、診察だけ。」
和「やー、ぎゃー」
先「ちょっと隙間作るだけでいいよ？
恐いことしないかね〜」
和は聴診器から逃れようと、雅紀に必死に
なってしがみ付く。
翔「もう少しだけ離れて？」
和「ぎゃー」
聴診器すら入れないから
翔にぃが隙間を作ってくれようとするけど、
すごい力で戻ろうとする。
先「ちょっと待とうね。」
翔「すみません。今日は一段と機嫌が悪くて」
苦笑いの翔にぃを見て、先生は笑った。
しばらくして、そっとカウンセラーも
診察室にきた。
和は俺の胸に顔を埋めて、
一生懸命に呼吸を整えてる。
先生と同じ空間にいても、落ち着くことが
できる様になってきた。
カウンセラーの話では、
これは、すごい成長らしい。
先「そろそろ、胸の音聞かせてもらっても
いいかな…？」
和「…」
先生の言葉を聞いて、和は体にギュッと
力をいれて構える。
返事こそしないものの、やらせるらしい…笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
