5人で生きてゆく…【幼き記憶】 (ページ32)

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32.【13】ページ32

［潤side］

和「いい！
計らない！いらない！」

翔「…分かったから。危ないから
やめなさい。かず…」

和は熱が上がってきたのを隠したくて
計りたくないって訴えてたけど…

翔にぃがすぐに「計らなくていいよ」って
言わなかったのが気に入らなかったみたいで
点滴を抜こうとして、それを主張する。

和「こんなのいらないもん！
点滴なんか、外してやる！」

体温計を放り投げて、点滴に手を伸ばした
ところで、翔にぃが手を抓った。

翔「いい加減にしなよ？」

和「…たい、いたい…やだ…」

翔にぃはギュッと抓ってから
手を離して和の顎を掴んで自分の方を
向かせる。

翔「やりたい放題にできると思うのは
間違いだからな。」

目を逸らそうとする和を、翔にぃは絶対に
逃がさない…

和「んー、ばか！ばか！」

和はムキになって翔にぃをペシペシ叩いた後、
窓に向かってゲーム機を投げ付けた。

翔にぃも止める間もなかった一瞬の出来事…

窓に当たることはなかったけど
ゲーム機は派手に音を立てて
床に転がった。

翔「和！お前の手は、ほんとに
分からんちんだな。」

和「…やだ！やめ、て、やだ！」

抓ろうとした翔にぃの手を払って
一生懸命逃れようとする和。

翔「やだ。の前に言うことをあるよな？」

和「…たい、しょ、にぃ…はなして…」

翔「なんて言うの？」

和「…ったい…しょ、にぃ、ばか…」

抓られた痛みと、叱られたことから
和の目から涙がこぼれた。

翔「泣いても駄目だよ。なんて言うの？」

和「…しょ、にぃ、ギュッ、てした、から…
ここ、い、たい…」

翔「いけないことしたから、痛いんでしょ？
誰がいけないことしたの？」

和「…くない、もん。おれ、わる、く、ない」

しゃっくり上げて苦しそうにしながらも
絶対に折れない和。

翔「にぃ達は、物投げていいなんて教えたこと
ないよ？違う？」

和「…だって、おれ、わる、くない、もん…」

翔「そう。じゃあ、自分で考えなさい。」

和「やだ、かんが、えな、い、わるく、ない」

翔「1つもいけないことしてない？
和はごめんなさいしなくていいの？」

和「…う、ん。にぃが、…けない」

翔「そう…」

翔にぃは溜め息をついて椅子から立ち上がると
「潤、一旦出よう」って俺の肩に手をおいた。

和「…だめ！いっちゃ、ったら、だめ！」

部屋からいなくなると分かった和は大泣き。

翔「分からないんだったら、話さない」

翔にぃは和に背を向けた…