11.【潤の不満爆発】 ページ11
［翔にぃside］
和の入院から
2週間が経った頃。
潤は、和に会わせてもらえないことの不満が
ピークに達していた。
潤「どこの病院か教えてくれないなら
いい！俺、ひとりで探すもん。」
智「行っても会えないから。ね？
転院させるまで待って？」
潤「いつ転院するの？明日？明後日？」
智「今、和に合う病院、探してるから」
潤「じゃあ、それまで連れて帰ってきてよ！」
智「…じゅん。無茶言うなよ。
言っただろ？和はね、病気なの。
治さないと帰って来れないの。ね？」
潤「病気なんて、どーでもいい…」
智「じゅん？ここ、おいで…」
智にぃは、ソファーの下で胡座をかいて
潤をのせてやって後ろから抱きしめた。
智「どーでもいいなんて言っちゃ駄目…
和はね、闘ってるよ？潤に会う為に、
家に帰る為に。えらいんだよ？頑張ってる…」
智にぃの話を聞いて、潤はポロポロ泣いてる…
潤「…ん。でも、会いたいよ？
和に会いたい。もう待てないよ…」
智「もうちょっとだけ。
病院探したら、
潤も毎日会えるようになるからね。
ごめんね、じゅん。」
潤は智にぃの方に向き直って抱き付いて
声を上げて泣き出した。
潤「…いたい。あいたい。
かず、ないてるでしょ？だいじょーぶって
言いたいの。あいたい、のに…」
しゃっくり上げながらも、必死でお願いする
潤が可哀想で仕方ない。
でも智にぃは何も言わず、抱きしめる腕に
ギュッと力を入れて、ただただ潤に
寄り添ってやった。
潤「…あと、すこし、だけ。まつ…」
潤は小さく呟くと、智にぃにくっついたまま
眠りについた。
智「不安なんだろーね。」
潤の涙を拭いてやりながら、呟く智にぃ。
俺らだって、こんなに不安なんだ…
潤はわけも分からず、不安だし、心配だろう…
「今ね、候補に上がってる病院が
いくつかあるって言ったでしょ？
仕事休みの日に見学に行ってみようと
思ってるから。」
智「そっか、ありがとう…
じゅん？よかったね、もう少しだからね」
早く和と潤が笑ってる姿が見たい…
当たり前と思ってた日常は変わってしまっても
5人でいれば大丈夫。
現実を受け入れ始めた俺らは
少しずつだけど、前を向いて時間を
進めようと努力し始めた。
ただ泣いているだけでは弟達に
笑われてしまう…
空から見ている両親が泣いてしまう…
俺らはそれぞれが、自分にできることを
一つひとつ確実に見つけ出して
前へ進もうとしていた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
