命懸けの逃走 ページ21
...目が覚めると、私は薄暗い森の中にいた｡
「切島、遅せぇ！追いつかれるぞ！」
「分かってる！くそ、しつけえな.....」
誰かに抱えられているのか、腹部にがっしりとした腕がまわっている｡激しく揺さぶられながら、今までの出来事を思い出した｡
「.....爆豪くん？」
「おぉ、目、覚めたか！！」
「たく.....手ェかけさせんじゃねぇよ」
頭上から聞き慣れた2人の声がした｡虚ろな目で見上げると、その体の赤に言葉を失う。ところどころに傷があり、その姿はまさに満身創痍そのものだった｡
「なんで.....2人が.....」
「俺は、爆豪についてきた」
「悲鳴だけ残して電話ガン無視すっから仕方なく探しにくれば.....何しとんだてめぇ」
疲労し切った声が鼓膜を刺激する。その言葉は、今まで私がしてきたことを少なからず把握しているということを示唆していた｡
「見てたんですか.....」
「あぁ.....Aが、親の仇殺そうとしてたところもな」
切島くんが、難しい顔をして言う｡そうだ｡あの時の爆発がなければ、私は絶対に殺人を犯していた。
「.....どうして」
どうして、私自身の問題に突っ込んできたのか。
どうして、こんなに傷だらけになってまで自分のことを止めに来たのか。
そんな疑問の声は、切島くんの張った声で掻き消される｡
「あっちに茂みがある、一旦隠れるぞ！」
私達は生い茂った植物の中に身を潜めた。優しく切島くんに体を地面に落とされ、力が入らず座り込んだ。いつもこういう肝心な時に限って、私は役立たずのお荷物だ｡
「あの、これは一体どういう状況で.....」
「てめぇがUSJのボスヤローにまでちょっかい出しやがったから、そいつがキレて脳みそ野郎追っ手に出しやがった」
脳みそ野郎.....USJでオールマイトを襲った脳無というヤツだろうか｡そんなのヤバいのが今、私を殺すべく追跡してきているという事態に絶望する｡
しかも、それを引き起こしたのは他でもない自分｡やっぱり私は本当にカノンの出来損ないだ｡
「どうする爆豪？ ここに居ても、きっとプロヒーロー達が到着する前に見つかるぞ」
「……俺が足止めする。その間にさっさと逃げろ」
「はぁ！？ ダメだ、俺が囮になる」
「てめぇ、A持って走ってっからもう体力無ェだろ｡そんなんに任せても意味ねぇ」
「.....っでも！！」
言い争う2人に悔恨が込み上げてくる。私の不始末が原因だ｡何故彼らにそこまでさせなければならない｡
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
