隠れた優しさ ページ14
爆豪くんの話を聞いて少し経ったあと、どのくらい眠っていたのか気になりリカバリーガールに問う｡
「ところで、今何時ぐらいですかね？」
「ちょうど５時になるとこさね」
「5時ッ！？」
返ってきた言葉に激しい焦燥感を覚えた。非常にまずい｡実は父に内緒で買ったものがあり、もう少しでその配達時間になってしまう｡父は今日非番なので、きっと受け取ってしまうだろう｡
「すみません、理由は聞かずにすぐに帰らせてくれませんか」
「帰るのは自由だけど.....動けるのかい？ 私達は今忙しいから家までは送ってけないよ」
うﾞっ｡ そうだった｡それに、家にいる父にわざわざここまで迎えに来させるのも気が引ける。自分の個性の弱点を、これ以上なく恨めしく思った。
「.....おい」
突然、爆豪くんが声をかけてきた。
「てめぇの家、どこだ」
「えっ、えっと.....ここです」
「そこか.....ならまぁ近いか.....」
「.....？」
何故そんなことを聞くのか疑問に思いながら、ぎこちなく自分の住所を教えた。返答を聞き、何か呟いた爆豪くん｡一体なんのつもりなのだろう｡
「帰る｡Aも連れてく｡」
「！？」
えっ、それってつまり｡爆豪くんの突然の優しさに、ちょっと胸がときめく。
「おやおや、家まで送ってってくれるんだね。今Aちゃんはお疲れなんだ、変なことするんじゃないよ」
「誰がこんなクソチビにンなことするか！！」
前言撤回｡やっぱり爆豪くんは本当に残念なやつだ｡人の地雷をなんの躊躇いもなく踏み抜く彼に惜しさを感じる一方で、私はとてつもなく安堵していた｡よかった、これで間に合う。
「ありがとうございます、爆豪くん｡やっぱり爆豪くんは優しいですね」
「.....ほざいてろ」
爆豪くんが目を逸らす。むふふ、照れてますね｡
.....なんて言ってしまえば爆殺ルートまっしぐらなので、心の内に秘めておく。
爆豪くんにおんぶしてもらい、一緒に保健室を出た｡何だか、今回の体育祭で爆豪くんに対する恐れの感情が無くなった気がする。安心感に包まれながら、私達は家へ向かった。
−道中にて−
「そういえば、爆豪くんの怪我はもう大丈夫なんですか？ あの轟くんとの戦いの後ですし、相当消耗してるんじゃ」
「怪我はしてねぇ」
「……？ それじゃあなんで保健室に？」
「……」
「無視はやめてください爆豪くん」
「うるせえ、落とすぞ」
「あっ、すみません追求しないので勘弁してください」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
