No.16 ページ16
(……あ、チャイム鳴っちゃった)
遠くで聞こえる授業開始のチャイムの音に
なんとも冷静に考えをこぼした。
もう遅れる覚悟でゆっくりと教室へ戻っているのだから、それも仕方ないだろう。
「こらA！アンタ授業は？何やってんの？」
「あー…、サボりなう」
D組の前を通ったとき
廊下側の窓が急に開けられて、そこから友人が顔を出して私に話しかける。
自習で先生がいないらしいそのクラスはなかなか騒がしかった。
「そんな堂々と廊下歩いてサボってる奴初めて見たわ！」
ひゃはは！とお腹を抱えて笑っている友人に
「はいはい 落ち着きなよ」と言い残して、私はまた歩を進めた。
そういえば次は移動教室だったっけ。
教科書を取りに行かないと。
(授業に遅刻するとか初めてだな)
そんな事を頭の隅で考える。
相澤先生の事になると、自分はこうも“女の子”になるのだと嫌でも知らされた。
俯いたまま目の前の曲がり角を曲がろうとすると
ポス、と
何かにぶつかった。
「前見て歩きなよ、A」
「…心、操」
「帰ってくんの遅い」
顔を上げたそこにいたのはいつもみたいに隈のひどい幼なじみで、私は彼の胸の中にスッポリと収まっていた。
その手に持っていたのは私の教科書。
帰るのが遅い私をわざわざ迎えに来てくれたらしい。
ゆっくりと身体を離して 口を開く
「…ねえ心操」
「なに？」
「私さ、やっぱり先生の事好きみたい」
へへへ、なんて照れ隠しに笑いながら頬を掻く。
「教科書持ってきてくれてありがとね！」と言葉を続け、私は心操と一緒に教室へ向かう事にした。
(このまま、先生から返事がもらえない方が幸せなのかもしれない)
怖がりの私はそんな事すら考えながら
「……そうかよ」
結局、誰の気持ちも分かってはいなかった。
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TSUBAKI(プロフ) - なに、最高か (2019年10月9日 10時) (
レス) id: 693e23af59 (このIDを非表示/違反報告)
自分の目の前に天使が舞い降りてほしい 切実に - 人使の切ない心とかがすごく伝わってきてこっちまで悲しくなりました…人使と相澤先生と夢主ちゃんがこれからどうなるのか続きが気になります！更新楽しみに待たせてもらいます！！ (2019年8月14日 2時) (レス) id: da546de98e (このIDを非表示/違反報告)
クマグマ - このお話、すごく好きなので更新楽しみに待たせていただきます！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: c478c89726 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 相澤先生が大好きなので是非とも続きが見たいです！頑張ってください！ (2017年3月14日 23時) (レス) id: bf6acc7bbc (このIDを非表示/違反報告)
ちゃとー - 相澤先生大好きです。一人ニヤニヤしながら読んでます！更新頑張ってください！ (2017年1月12日 15時) (レス) id: 9ee542576d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紙芝居 | 作成日時：2016年7月5日 1時
