No.15 ページ15
「朝比奈もホイホイ軽い男に乗っかってんじゃないよ」
何故か、不機嫌を全面的に押し出した先生は
隣にいる私のほっぺたを ギュウッとつまんだ。
これまた かなり力が入られている。
「いっ、いひゃい！」
うっすらと眼に膜をはる涙の向こう側で
先生がやっと、不機嫌そうな表情のままではあるが少し笑ったのが見えた。
「軽い男とかヒデェ！」
「いや、まあ間違ってはねーだろ」
「切島！？」
目の前でヒーロー科であろう2人が言い合いを始め
先生はため息をついて、私の頬から手を離した。
うう痛い。
絶対加減とかしてないよこれ
伸びきっちゃったらどうしよう私のほっぺた。
「上鳴、アホみたいな言い合いしてねーで朝比奈の持つプリント代わりに持ってこい」
「なんという理不尽ッ！」
上鳴電気という少年のクラスでの位置付けは
なかなかに最下層なのだろうか。
先生にパシられる彼は
文句さえ言うが、私の持つ10枚ほどのプリントを代わりに持ってくれた。
「…ごめん、アリガト」
「全然！
でも、お礼に今度飯でも行ってくれたら超嬉し」
「しつこい」
スパァン！と、なかなかいい音をたてて
先生が上鳴くんの頭を叩いた。
「いいから早く行け」なんて言って
少年2人を先に歩かせていく先生は、1つ息をついて自らも歩き出そうとした。
(休憩時間終わるし、私も教室戻らないとなあ)
今はこの背中を見送ってから戻ろう。
最悪遅刻してもいいか、なんて考えていた私の耳が ボソリと小さな音を拾った。
「ま、アイツじゃ朝比奈はオトせないだろ」
なんて
「…お前の好きなタイプ、歳上だもんな？」
ぐしゃぐしゃ、っと
私の頭をかき回した先生は、怪しげに笑みを浮かべつつ言葉を残し 余裕気にその場を離れた。
こちらを振り返ることなく
「じゃあ またな」
なんて手を振り、そこの角を曲がったのだ。
(……っ、ずるい…！)
突然に甘やかされて
もう私の心臓はドロッドロに溶けたみたい。
スカートのすそと、撫でられた頭をぐしゃりと掴む。
まだ そこには熱が残っていた。
「…返事、なくても諦めきれないじゃんかぁ…」
小さく呟いたその言葉は
自分が思うよりもかなり弱々しいものだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TSUBAKI(プロフ) - なに、最高か (2019年10月9日 10時) (
レス) id: 693e23af59 (このIDを非表示/違反報告)
自分の目の前に天使が舞い降りてほしい 切実に - 人使の切ない心とかがすごく伝わってきてこっちまで悲しくなりました…人使と相澤先生と夢主ちゃんがこれからどうなるのか続きが気になります！更新楽しみに待たせてもらいます！！ (2019年8月14日 2時) (レス) id: da546de98e (このIDを非表示/違反報告)
クマグマ - このお話、すごく好きなので更新楽しみに待たせていただきます！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: c478c89726 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 相澤先生が大好きなので是非とも続きが見たいです！頑張ってください！ (2017年3月14日 23時) (レス) id: bf6acc7bbc (このIDを非表示/違反報告)
ちゃとー - 相澤先生大好きです。一人ニヤニヤしながら読んでます！更新頑張ってください！ (2017年1月12日 15時) (レス) id: 9ee542576d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紙芝居 | 作成日時：2016年7月5日 1時
