【アイナナ】いきなりですが、拝ませてください。

panic27 私が彼氏役！ ページ28

「A先輩！ショッピングモールに行きませんか？？A先輩はセンスがいいので服を選んでもらいたくて…」

oh...エンジェル、私なんかでいいのかい…
ここはイケメン彼氏とデートして選んでもらうのがテンプレだというのに、こんなキモオタで…

『行く行く！私なんかでよければ真心こめて選ばせていただきまっす！！』

ヘドバン顔負けの頷きをして私たちはショッピングモールへと向かった。

「A先輩、ありがとうございます！
とってもこの服可愛いです！
代金まで出してもらってしまい…」

ーー服を買い終わりランチを私たちは楽しんでいた時に紡ちゃんが申し訳なさそうに言う。
実は服を選んであげたあと、やはりデートだしこの状況なら私が男役であるし、先輩なのだから と今日のデート代は全て出していたのだ。

『いいのいいの！いつも紡ちゃんは優秀で1人でマネージャー大変なのに頑張ってくれてる。頼りない先輩からのご褒美だと思って受け取って？？
こんな時くらい先輩らしくさせてよ。』

第一、今日は私が紡ちゃんの彼氏なの！
と言うと

「先輩は本当にいい人です…。だから個性豊かなアイナナの皆さんも先輩と仲良くなれたのでしょうね…
ーーでも、先輩は自分の可愛さの自覚がなさすぎです。私なんかよりもっと女の子なのに…」

紡ちゃんが瞳に涙を浮かべて言う。
ただ、「でも」のあとからボソボソ声になってしまったためそこから先は聞き取れなかった。

『ねぇ、紡ちゃんいきなりこんなこと言ったら起こると思うんだけど、私の話聞いてもらえるかな？
紡ちゃんだけには隠し事したくないの。』

私は自分の気持ちに気づいてしまった段階でけじめはつけなければいけないと思っていた。
私が好きになった人は逢坂壮五くん。
でも彼はアイドル。
好きだからといって告白もできない。
それにこんな邪な気持ちを抱いた人間が共同生活なんていけないことに決まってる。
だから、私はどんなに好きでも彼に本当の気持ちは伝えない。
ーけれども、このまま一緒に生活していればポロッと言ってしまうかもしれない。
だから、

『私、壮五くんが好きになっちゃったの。
スキャンダル厳禁なアイドルに対してこれはいけないことだって分かってる。
だから私ね、寮母をやめて事務のみの仕事にしたい。』

これは自分への戒め。

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