夜明けの唄【赤井秀一】

０７いなくなって気づいたんだ ページ8

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＿＿＿＿ねぇ、陣平。好きだよ。





＿＿＿＿‥‥いきなりなんだよ。





＿＿＿＿言いたかっただけ。





＿＿＿＿なんだそりゃ。‥‥俺もだ。









そう言って、貴方は照れたように顔をしかめたっけ。

愛してる、の言葉ひとつ吐かずに死んだひと。

私がこの世で一番愛していた大切なひと。







信じてたの。

どこにいたって貴方は私を想ってくれるって。



望んでたの。

貴方の隣でいつかまた、笑える日を。









‥‥なのに。









『‥‥冗談だよね、降谷』

「‥‥悪い」

『違う。謝って欲しいんじゃない。

ねぇ、ちゃんと言ってよ降谷。





陣平は‥‥陣平は死んでなんかいないってちゃんと言って！！』

「‥‥‥っ、悪い‥‥！！」









ねぇ、陣平。

この世界はどこまでだって残酷だ。




よりにもよって、貴方を奪ってしまった。

あんなに、愛してたのに。

そばにいたいと、願っていたのに。





‥‥貴方の後を追いたかったよ。

それでまた、貴方のそばにいたかったよ。






でもきっと、貴方はそれを許さない。







だから、あのとき決めたんだ。

全部終わったら、貴方に会いにいこうって。









だから、今日、貴方に会いにいくよ。

思い残すことなんてなにもない。









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〈＿＿＿＿A〉








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貴方だけを想って、いくから。









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〈好きだ、A〉





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だから、どうか。お願いだから‥‥！！









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〈＿＿＿＿愛してる、A〉






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愛おしげに私を呼ぶこの声を、忘れてしまえますように。









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私は、踏切の前に立った。

まだ薄暗い時間帯、カンカンと耳障りな音を立てるそこで。

私はそっと、足を踏み出した。







あと、一歩。

先に進めば、貴方に会える。






あと、一歩。

進んでしまえば、もう戻れない。









『‥‥さよなら』









それを、誰に告げたかも分からぬまま私は。

固く、固く、目を閉じて足を踏み出した。









【ねぇ、誰か教えて】

【貴方以外の彼に抱いた、この想いの名は】





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