弓道なんか、大っ嫌い。【二階堂永亮】

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「1年生の皆さん、弓道部を見に来てくれてありがとうございます。弓道部では＿＿＿」



恐らく3年生であろう優しそうな男の先輩が説明をする。
半分以上は道場に慣れておらずソワソワしているが、私を含め、数人は落ち着いて話に耳を傾けているようだった。




「……では、1年生の皆さんはこちらで活動の様子を見学していてください。
もし道場を出る場合は、必ず一礼してから出るようにしてくださいね。」



先輩の話は中々興味深かった。弓道部の活動の説明から始まり、
弓道についての説明、あらまし、歴史などを簡単に教えてくれた。


話が終わったので、兄貴の姿を探す。




(………………いた………!!)



同級生であろう人達と話している。………私とは全然話してくれないのになぁ………。


ちょっとしょんぼりしたけど、これから頑張って兄貴に見てもらえるようにしよう！と思った。




「ねぇ、二階堂さん。」


「なんですか？」



隣から穏やかな声が聞こえた。そちらを見ると、竹早くんがこちらを向いていた。




「二階堂さんに紹介したい人がいるんだけど、いい？」


「いいですよ。」



承諾すると、竹早くんは嬉しそうに微笑んだ。泣きぼくろが整った顔をさらに引き立てている。



「ありがとう。

この人が、僕の幼馴染の鳴宮湊って人だよ。
小学生から弓道を習っていたから、弓道部に入部するんだって。

……湊、挨拶。」



竹早くんが小声でそう言うと、鳴宮くん？はややぎこちない動きでこちらを向いた。





「な、鳴宮湊、です。……えっと、弓道のこととか、知りたいことあったら言って。ください。」



「ありがとうございます。
私は二階堂Aと言います。よろしくお願いします。」



「よろしくお願いいたします。」



鳴宮くんが、お辞儀をしながらぎこちなく言った。



「よくできました。」


(竹早くんって、鳴宮くんのお母さん……？)

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