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「……兄貴、やっと喋ってくれた。」
問いかけてくる兄貴を無視して、私は素直に歓喜の言葉を口にした。
だって、嬉しいから。会話をするのは一体何年ぶりだろう。
「は?質問に答えろ。」
「…私、この数年間ずっと寂しかった。
兄貴のこと大好きなのに。大好きで大好きで仕方がなかったのに。私が挨拶しても、兄貴は何も返してくれなかったから。
でも、兄貴がいま話しかけてくれて、私すごく幸せ。
話しかけてくれて、ありがとう。」
本心を伝えた。伝えずにはいられなかった。
兄貴は眉間に皺を寄せて少し怒っているようにも見えるけど、
そんなこと気にならないほどに感動して、幸せだった。
「……あっそ。
で、お前どういうつもりで弓道部に来た?」
私の心の底からの本音は、あっそ。の一言で片付けられてしまったらしい。……そんな冷たいところも、好きだなあ。
「どういうつもりって、弓を引きたいから、だよ?」
「本当のことを言え。お前は元々弓道そんな好きじゃないだろ」
……私が弓道を嫌いだってこと、知っていてくれたんだ。
「私の好き嫌い、覚えていてくれたんだ。
兄貴の記憶に少しでも残れて、嬉しいな。」
「………チッ
話にならない。もし俺に近づくために弓道部に入ったならすぐにやめろ。」
兄貴は足早に去っていってしまった。
(兄貴って、あんなにかっこよかったっけ、)
しばらく面と向かって顔を見る機会が無かったからなあ。兄貴のいなかった時間があることを嫌でも思い知らされる。
かっこよくて、だけどちょっと冷たくて、
そんな兄貴が、この世で1番好き。
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葉月(プロフ) - るつさん» コメントありがとうございます!今回はちょっと夢主がヤンデレメンヘラみたいな子なので、、笑 表現とか丁寧に修正しながらつくりました!更新頑張ります! (5月14日 13時) (レス) id: adc3152580 (このIDを非表示/違反報告)
るつ(プロフ) - わ〜…!!もう表現の仕方とか言葉選びとか全て大好きです…!!!二階堂とのちょっとぐちゃぐちゃな関係とか最高です…!笑更新楽しみにしてます!無理のない範囲で頑張ってください!! (2023年5月11日 19時) (レス) id: b73383e552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作成日時:2023年4月24日 22時