弓道なんか、大っ嫌い。【二階堂永亮】

□10. ページ11

「＿＿二階堂です。
弓道初心者、よろしくお願いします。」



あえて名前は言わなかった。兄貴を除き、ここにいる人たちと仲良くする予定は全くないからだ。

特に誰かが反応することもなく、次の人の自己紹介に移った。




なんの滞りもなく全員の自己紹介が終わった。

途中兄貴に熱烈な視線を送っていたパリピ共がきゅるるん！という効果音が付きそうな自己紹介をしていたが、
先輩達含め全員引いていたのでもう後は知らない。






「二階堂さんって、もしかしてあの先輩の妹？」


帰る支度をしている途中、竹早くんがそう話しかけてきた。視線の先には兄さんとその友達らしき人がいる。



「そうですよ


兄貴は、とってもかっこいいんです。」



「二階堂先輩のこと大好きなんだね。」



「はい！」



…ちょっとだけ、楽しい。


兄貴の話をしているからかもしれない。竹早くんとの会話が少し楽しく思えた。









・・・



「ただいま」


兄貴は先に帰っているようだ。玄関には兄さんの靴が綺麗に揃えられていた。




靴を脱いで廊下を歩いていると、前に兄貴が突然現れた。


(兄貴、やっぱり顔が整っているなあ。)


竹早くんも確かに綺麗な顔立ちをしているけれど、それ以上に兄貴は美しい。

そう思っている私をよそに兄貴は口を開いた。








「おい、どういうつもりだ？」

□11.→←□9.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す