弓道なんか、大っ嫌い。【二階堂永亮】

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＿＿＿＿私は兄貴が好きだ。


物心ついた頃から兄貴、兄貴とずっとくっついて回っていたらしい。



私が兄貴に引っ付くと、兄貴はそれはそれは穏やかに笑って抱きしめてくれた。
私が無理してご飯の量を合わせようとすると、兄貴はそっとご飯の量を減らしてくれた。




そんな優しくて格好いい兄貴が、世界で一番大好き。


否、そんな薄っぺらい言葉では表せないほどの愛を、私は持ってる。









私は兄貴さえいればいい。他のものなんて、これっぽっちも欲しくない。


こんな私のことを、世間では“ヤンデレ”というのだろうか……







と、まあこんな感じだったので、学校ではもちろんブラコン扱い。
事実だからと気に止めなかったけれど、兄貴はまあまあ気にしていた様子だった。




そんな私のヤンデレブラコンライフは、“弓道”というルーキーによってめちゃくちゃに狂わされたのだ。






「Aも弓道やろーよ！楽しいよ！」



「……うん!!」




弓道の良さが、私には理解出来なかった。


あんなに遠くの的に矢を当てて、何が楽しいのだろうか。
弓をひくと腕が痛くなる。おまけに当たらないし、つまらない。



でも、目をキラキラさせながら弓道に日々打ち込んでいる兄貴にそんなことは言えなくて、

私はそっと弓道から距離を置いていった。
兄貴は不満そうだったけれど、何も言わなかった。

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