【ωrωrd】元・世界最重要指名手配犯【男主】

#83 ページ45

これだけ歩いていて、何故誰にも会えないんだ。


朝からずっと歩いて今はもう13時を過ぎた。



点滴をされていたからなのか腹は空かないが、

壁をつたいながら歩くのも疲れた。



俺の歩みはとても遅かった。

まるで牛だ。



しばらく歩いて廊下の突き当たりを左に曲がると

書記長室、の文字が。



やっと部屋だ…しかもトントンの。

カレンダーを見るついでに休ませて貰おう。


『トントン、入っても良いか』


声を出すのが久しぶりで少し掠れた声になった。


返事が無いので扉を開けてみる。




中には誰も居なかった。


流石に人間に会わな過ぎじゃないか？



机の横に立てられた日めくりのカレンダーを見ると

1935／9／25と書かれていた。



3年経っても俺の予測は完璧だな。
俺は1人で満足した。


…訓練エリアにでも行けば誰かに会えるだろうか？





シャオロンとか…鬼ごっこをしていないだろうか。





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿




【訓練エリア：森】と書かれた門を潜る。



ここは広いし、足場が悪い。
歩いて確かめるのは大変そうだ。


俺は目を閉じて意識を集中させる。



……誰もいない、か。



俺の五感は思っていたよりも鈍っていない。

…多分。




よく考えたら正午過ぎは昼休みだったかもしれない。



『じゃあ食堂に行くか…』


俺は休む暇も無く足を動かす。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿




『えぇ…ここもハズレ…？』


昼休みで大いに賑わっているであろう食堂も

今日は空っぽ。




何故、何処にも、人が、居ないんだ。




異常だ…。


こんなに人気のない城を見たことがない。






どうしたものか。



総統室に行けば良いのか…？

グルッペンくらいは流石に居るだろう。





_

#84→←#82

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す