#79 ページ41
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______長い、夢を見ていた。
上も下も右も左も分からない、そんな空間を歩いた。
何故か足が地面を踏む感覚だけは残っていた。
記憶を遡ってみる。
国王を殺して、俺は胸の辺りを撃たれて…
それ以降は思い出せない。
俺の予測した未来通りに進んでいればきっと俺は今死んでいるのだろう。
では、ここは天国か。
いや、俺の行いからして地獄に行くのが妥当だろうか。
胸の辺りを触ると大きな穴が開いていた。
『…何なんだこれは』
穴を見つめた後、顔を上げると、
俺は医務室にいた。
帰って来たのだろうか。
城は崩れたはずだが、そこは俺の記憶にあるのと全く同じ医務室だった。
脚と腕には傷も痛みも無く、自由に動けた。
服は病院で患者さんが着る様な物だった。
お気に入りのローブが見つからないので仕方無くそのまま過ごした。
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チーノとは一緒に釣りに行った。
チーノは俺用の釣り竿をくれた。
魚は俺が思っていたよりも釣りにくく、苦戦しているとチーノに笑われた。
ショッピには早撃ちを教えてやった。
θ国の銃はボルトアクションの銃だった。
俺はあの時、視界の隅にショッピを捉えていた。
見事な早撃ちだった。
努力が実を結ぶとはこう言うことを言うんだな。
胸の穴を見ると、歪な形をした物で
少し、埋まっていた。
描かれた円の側面にはぴったりなのに、それ以外の中心に向いている部分はガタガタなのだ。
『…不格好だな』
こいつらは裸足の俺を見ても、胸に穴を開けた俺を見ても、
何も言ってこなかった。
エーミールには作戦ミスだと叱られた。
しょうがないだろう。未来は変わらないんだから。
こんな事を言っても伝わる筈が無かった。
でも最後に、生きてて良かった、と言われて頭に乗せられた手からは温もりを感じた。
頭を撫でられるのは初めてだった。
オスマンと一緒にケーキを食べた。
初めて見た甘味に興味を持ちながらも怯える俺をオスマンは笑った。
……味はしなかった。
だが、オスマンが幸せそうだから俺も嬉しい気持ちになった。
コネシマとは煙草を吸った。
俺が作った毒性の煙草を吸いたい、と言ったのには驚いたが、お前から出さないなら勝手に漁る、
と言われて大人しく出した。
3本目で慣れるという驚異の免疫力だった。
次の段階の煙草、作ってやらないとな。
しんぺい神は毎日診断をしてくれた。
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りと - お疲れ様です!何と言ってもあの話が…と言いたいところですが何故か一番好きなのは作者様の敬語でユニークなことを言ってる時ですかね…(何だこいつ)兎にも角にも、楽しませて戴きました!面白い作品を世に放って下さり有難う御座います!! (7月24日 9時) (レス) @page50 id: ffe5a6a019 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - わんぱんさん» そういうことです!読んでいただきありがとうございました! (2020年11月22日 20時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん(プロフ) - ああああ!!!61とか紛れ込んでると思ってたがそういう事か!すごい面白かったです!感動しました!素敵な作品ありがとうございました! (2020年11月20日 7時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます…! (2020年4月23日 19時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - お疲れ様です。とても感動しました。 (2020年4月22日 14時) (レス) id: 4d71c550a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さささ | 作成日時:2020年3月18日 8時