#58 ページ12
グルッペンside
暗闇の中を歩いた。
重い脚を引きずって。
暗闇の中では姿の見えない我が国の幹部に声をかけられた。
俺を心配しているようだ。
暫く歩くとまだ幼いAがいた。
白髪で、目はグレーで。
10歳、くらいだろうか。俺達に出会った頃くらいだ。
Aは泣いていた。
gr「何故、泣いている」
コイツが泣くところは見たことがなかった。
『父上は僕を殺す気なんです』
泣きながら答える。
アイツと出会った当時、家族について聞いたが
よく覚えていない、と答えるばかりだった。
殺されかけてショックで忘れていたのかもしれない。
gr「勉強や剣術が苦手だからなのか」
『いえ…どちらも出来ている筈なんです』
訳が分からない、と言う様に泣きじゃくるA。
gr「父親の名前は？」
『シータ…シータ=スカウル…。θ国の王様です』
こいつ…王族だったのか…。
…なるほどな。国王である自分の強さを揺るがしかねない息子のAを排除しようとした…と。
不安要素は早めに摘んでおくのが好きなのだろうか。
自分の後継は必要だが自分よりも強い後継はいらない、と。
まったく。酷い父親だ。
僕を助けて下さい、と言うとAは消えていた。
なんだったんだ今のは。
重いだけの脚に段々と痛覚が伴ってくる。
gr「＿＿助けて下さい、か」
tn「…！みんな！グルさんの意識が戻ったで！」
目を開けると眩しい空、とトントン。
トントンの声に応じて皆が集まってくる。
良かった、良かった。
皆そう言っていた。
俺のインカムは何故か生きていた様で鮮明に音が聞こえた。
Aの声が聞こえる。
過呼吸、嘔吐、呻き声。
今まで助けてもらった分、お前のことを助けないとな。
gr「A達の様子は」
rbr「分からん…でもAは苦しそうや…」
自分を殺そうとした父親を前にして酷く混乱しているのだろう。
『俺の…せ、いで……俺のせい……』
os「まるで呪文やな。全然そんなことあらへんのに…」
rbr「A、そんなことないで！しっかりせぇや！」
A達に通信を送れるのはそのように繋げている俺とロボロだけ。
他の皆は声をかけるロボロとAの声を交互に聞いて不安そうな表情をしている。
俺の口から溜息が出た。
gr「A、聞こえるか。A。俺の声が聞こえるか」
俺とロボロはAが応答するまで声をかけ続けた。
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りと - お疲れ様です！何と言ってもあの話が…と言いたいところですが何故か一番好きなのは作者様の敬語でユニークなことを言ってる時ですかね…(何だこいつ)兎にも角にも、楽しませて戴きました！面白い作品を世に放って下さり有難う御座います！！ (7月24日 9時) (
レス) @page50 id: ffe5a6a019 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - わんぱんさん» そういうことです！読んでいただきありがとうございました！ (2020年11月22日 20時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん(プロフ) - ああああ！！！61とか紛れ込んでると思ってたがそういう事か！すごい面白かったです！感動しました！素敵な作品ありがとうございました！ (2020年11月20日 7時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます…！ (2020年4月23日 19時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - お疲れ様です。とても感動しました。 (2020年4月22日 14時) (レス) id: 4d71c550a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さささ | 作成日時：2020年3月18日 8時
