短編小説 /惚れた弱み/ ページ17
――――『指にキス・掌にキス』
「……反省してるの？」
「はい」
彼女が見降ろす視線の先には、正座をして俯く彼の姿。
小さく縮こまり、申し訳なさそうにしているものの、本心は分からない。
「……で？あの女とは何処までしたの？」
「何もしてないよ！！ただ食事に行っただけだってば！」
事の発端は、彼が彼女の知らない女と食事に出かけたことだった。
その女は彼曰く職場の後輩で、相談があると言われ連れて行かれたそう。
「……なんで気付かないの？そんなの十中八九気があるに決まってるじゃん」
「え？だって後輩の相談は聞いてあげなきゃいけないでしょ？」
―――ハァ。
思わずため息が出る。そんな彼女を、彼は不思議そうに見つめる。
彼はどうしようもなく純粋で、天然で、人を疑うことを知らないのだ。
このままではいつか騙されて大変な目に合うんじゃないかと心配になるほど。
「…で？相談って？内容は？」
「い、言ってもいいのかなぁ……内緒って言われたんだけど……」
「………は？」
この期に及んで後輩の女とやらを心配する彼を視線で脅し、一から十まで全部教えてもらう。
「好きな人がいるらしいよ。でもその人には彼女がいて、自分には全然振り向いてくれないんだって。しかもその好きな人って言うのが職場の上司らしくてさー。どうしても諦めきれなくて……みたいな話を二時間されたよ」
いよいよ彼女は呆れる。そんなの、”貴方が好き”と言っているようなものじゃないか。
「それさあ……アンタのことだよ」
「何が？」
「いや、その女の”好きな人”」
「ええ！？」
分かってなかったのか！！
呆れや驚きを通り越して、諦めるに近い感情が彼女を襲う。
「女はねえ、恋愛相談を態々男にしたりしないの。そういう場合は、"好きな人”がその相手だったとしか考えられないでしょ！」
彼は目を丸くして私を見る。
「こ、今度から気を付けるよ……」
彼はそう言うと、そっと私の手を取った。
「な、何？」
「だからね、許して」
彼は彼女の細く白い、美しい手にそっとキスをする。
「僕が好きなのは、君だけだよ」
そう言って上目遣いで彼女を見つめる。
「〜〜〜ッ……それは…反則……」
ホラ、こんなときも、惚れた弱みで許してしまうから。
――――『懇願』
短編小説 /その音色に、恋をした/→←短編小説 /頑張り屋さん/
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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8
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (
レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました！！鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです！こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています！頑張ってくださいね！！ (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - とりあえず完結しました〜！皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします！ (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年8月31日 18時
