短編小説 /あたしの想いは伝わらない/ ページ15
――――『喉にキス』
「でなあ、可愛いんだよ、コイツ」
彼はスマホの画面に映る女性を彼女に見せる。
『あたしがいるのに、この子の方がいいっていうの?』
彼女は眉に皺をよせ、途端に不機嫌になる。
「ああ、勘違いするなよ?勿論お前のことも大事だし、ちゃあーんと可愛いと思ってるからさ」
そう言いながらも、「ああ、やっぱり可愛いなあ」と彼はスマホを見て頬を緩ませている。
彼女はそんな彼の間抜け面に腹が立ち、彼女の頭をまるで毛繕いをするかのような手つきで撫でていた彼の手を、パシンと叩き落とした。
「痛ッてえ、何するんだよ」
『あたしの前でほかの女の話をするのが悪いわ』
「ほんっと、可愛げのないヤツ…自分の機嫌のいい時だけ寄ってきて……」
『女ってそんなモンよ。アンタが可愛い可愛い言っている彼女にもアンタのほかに男がいるかもね』
「言っとくけどなあ、コイツはお前とはぜーんぜん違うんだからな!」
彼はずいっと彼女の前にスマホを突き出す。彼女の目に、ドアップになった女性が映る。
スマホの中の女性は、小さな花びらが散った淡いピンク色のワンピ―スを着て微笑んでいる。緩くカールした明るい栗色の髪に、そのワンピ―スはよく映えた。
「いつも優しくて、気が利いて、面白いことも言うけど下品じゃなくて、…挙げだすとキリがないくらいアイツには良いところがあるんだよ」
『そんなのあたしにだってあるわ』
「おおっと、怖い顔するなよ?お前が張り合ったって勝てるわけねーんだから」
そう言いながら彼はまた頭を撫でようとして来る。今度は頭に触れる前に叩き落としてやった。
「だから痛ッてえッつの!!もう少し女らしく出来ねーのかよお前は!」
『あたしの前で嬉しそうにほかの女の話をする奴には優しく出来ないわ』
「大丈夫だって、アイツと付き合ってもお前のこと捨てたりしねえから、な?」
『な?じゃないわよ。あたしの気持ちなんて微塵も解ってない癖に』
――――そう、あたしの想いは伝わらない。
『あたしの方が、もう何年も前からアンタのこと知ってるんだから』
『あたしの方が、ずっとアンタのこと好きだったんだから』
それでも、彼女の言葉は彼の耳には届かない。
寂しくなった彼女は、彼の喉に飛びついて優しくキスをした。
「どうしたんだよ?」
彼女は顔を背け、「にゃあ」とだけ鳴いてみせた。
――――『欲求』
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました!!鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです!こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています!頑張ってくださいね!! (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - とりあえず完結しました〜!皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします! (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年8月31日 18時