万事屋の坂田くんは狼少年を愛しすぎている(参)

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カノウが出ていったあと、迫田茨がこちらを一瞥した後、部屋から出ていき、すぐにまた戻ってくる




そして手錠で繋がれている俺の前に、コップに入った水が置かれた



貴「なに」

茨「べつに、喉乾いてるかなって思っただけ」

貴「…いや、別に
てか飲むわけねえだろ。何入ってるかもわかんねえのに」



手使えねーから飲めねえし



茨「まあ、それもそっか
あんたもう目の色金色にならないの？」




そういいながら茨はコップを下げる

…なんだコイツ



貴「…さあね？どうかな」


茨「ふーん、綺麗な顔して、性格悪いのね」


貴「性格悪いに関してはお前に言われたくないけど」




はあ、と溜息をついて、迫田茨はさらに会話を続ける




茨「…アンタはさ。
叶様が私を“駒くらいにしか思ってない”って言ってたけど、それ違うから。」

貴「は？」

茨「だって叶様はいっぱい愛してるって言ってくれるし、撫でてくれるし、抱きしめてくれる。
両親が死んでひとりぼっちだった私を、好きになってくれた人なんだから」



惚気かよ

結婚詐欺の手口だぞ、それ。




…よく知らんけど←



茨「わたしが人を殺すのも、叶様は人の肉を切る感触が苦手だから進んで私がやってるだけ。辛い事なんか無いわ！
それに研究や実験も、叶様は不治と言われている病を治すきっかけになればと思われているのよ？
何も知らないのに勝手なこと言わないで」



…それ、やっぱり汚れ仕事頼まれてるだけじゃねーか




貴「その不治の病を治すためだったら、何人が実験体として犠牲になっても…
その実験体を捕えるためなら、どんだけ殺してもいいって事かよ」


茨「叶様がいいっていったらいいのよ」





…どんな宗教だよ






茨「いつか、叶様の研究が全部終わったら、2人でどこか静かな所で幸せになるの！
そう約束したから、私は叶様の為ならなんでも出来る」



貴「…」





その時の迫田茨の目は年相応の、好きな人との未来を描くただの女の子の目のように思えた

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