繋ぎ桜の木の下で ページ2
？『A。』
懐かしい声に呼ばれた気がした。
でもその声の主が誰かは思い出せなくて、その答えが知りたい私は重たい瞼を持ち上げた。
布団から上体だけを起こし、辺りを見回すが、自分の求めた答えはそこにはなかった。
変に目が覚めてしまった私は、服を着替え、腰に刀をさしてまだ暗い外に足を運んだ。
満月のお陰か、外は存外明るく、私を優しく照らしていた。何となく庭を歩いていると、また先程の声が聞こえてきた。
？『A。あなたの力を──貸してほしい。』
小さな鈴を転がすような儚く綺麗な声。
それは直接頭に響いていた。
貴「誰なのどこにいるの？」
？『繋ぎ桜の──･･･』
貴「繋ぎ桜？」
それは庭を抜けた少し先の丘にある1000年桜のこと。そこに答えがあるのだろうか。
私は、正体も分からないその声に誘われるように、繋ぎ桜のもとへ向かった。
吸い込まれそうな満月と悠然と咲き誇る繋ぎ桜。
それぞれがそれぞれを引き立て合う目の前の情景はとても美しかった。
暫く感動に浸っていると根の部分が光っているのに気付いた。
白い光が幾つかぽわぽわと浮いている。
何となくその光に触れようと手を伸ばしたその瞬間、まばゆい光が私を包み込んだ。
その光はとても暖かくて、切なくて、次第に私の意識は遠のいて行った。
それが私の運命の歯車が動き出した瞬間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜夏幹(プロフ) - 顔がほっこり和みました。あぁ、信玄さん、優しいなぁって文字だけで丸わかりキラン！ (7月5日 2時) (
レス) id: 3d710f5422 (このIDを非表示/違反報告)
星空ネーム(プロフ) - 名無しさんさん» ありがとうございます！そう言って貰えると嬉しいです！本編となるべく沿って書くつもりです！ですが、昌景との絡みも今模索中なので楽しみにしててくれると嬉しいです！リクエストありがとうございます┏● (2018年10月8日 17時) (レス) id: 6e8006e895 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - とても面白い作品ですね！これからも更新頑張ってください！応援しています！！あとですね、本編では昌景との絡みを多くしてもらいたいです！！(ただ単に自分の推しだからという勝手な理由ですが)できるのでしたらお願いします！！ (2018年10月8日 15時) (レス) id: fd12d3a52b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星空ネーム | 作成日時：2018年10月6日 17時
