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途中寄ったコンビニでは、2人で降りて、財布も持っていったけど、結局俺が使うことは無かった。
冗談でいっても、丈くんは俺を甘えさせてくれる。
どこまでも優しい先輩。
｢到着〜｣
｢くらい。さっむ｣
｢まだ夜は冷えるなぁ｣
｢うん｣
車を降りれば、広がる漆黒の海。そして砂浜。
寒いけど、なんだか風も気温も心地よかった。
｢下行こう、｣
俺の手をとり、ぎゅっと絡められる指。
丈くんはいたって普通にやるけど、こんな些細なことだって俺は嬉しいって思ってしまうんだ。
20にもなって、どんな乙女思考なんやろう。
｢靴に砂入る、、｣
｢あとで取ればいいよ。｣
｢もー、、｣
ザザーン⋯と穏やかな波の音がすぐ近くに。
月の明かりと、少しの人工の光りがかろうじて辺りを照らしてくれていた。
丈くんは、握っていた手を離し、｢よいしょ｣なんて言って、砂浜の上に座った。
そして、ぽんぽん、と脚の間を叩く。
｢流星、ここおいで｣
｢え、｣
｢くっつこ？寒いじゃん｣
寒いなら車戻ろうよ。
⋯そんな言葉は出てこない。というか、飲み込んだ。
俺は、のそのそと丈くんの脚の間に座り込んだ。
すると、お腹に手を回され、丈くんに後ろから抱きしめられる形になった。
｢密着｣
｢⋯さむい｣
｢いいやん、少しは温かいやろ？｣
｢⋯⋯そうかも｣
幾度となく押し寄せては引いていく波。
体を丈くんに預け、漣の音をしばらく聞いていた。
｢流星、明日仕事？｣
｢収録が2本だけ｣
｢そっか。俺休み。｣
他愛もないやり取り。
こんなの、海でしなくてもいいのに。
｢迎えに行っていい？｣
｢⋯うん。｣
｢やった。連絡してね｣
｢分かった｣
けど、こんな会話を海を見ながら、波の音を聴きながらする、
それがよかったりする。
だって
｢夕飯何食べる？｣
｢魚｣
｢フライが家にあったかも｣
｢じゃあそれ決定｣
これが俺らだけの特別な日常やから。
なんでもない日にこの日を思い出したらいい、俺も丈くんも。
(そばにいたい、)
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の｢（）｣。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (
レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋香 | 作成日時：2022年2月15日 16時
