fj だから ページ45
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丈くんの、車を運転してる時の横顔が好きだったりする。
「どうした?」
「⋯んーん、なんでもない」
「?そう、?」
これは、好きだと自覚をする前からで。
多分初めて丈くんの車の助手席に乗せてもらった時から、ずっと好きだった。
血管の浮いた手の甲と、長い指に付けられているゴツめの指輪が。
二重の目が、遠くを見て、瞬きをすると揺れるまつ毛が。
何もかもが好きだった。
顔だけじゃないじゃないかって、そんなの助手席に乗って2度目で自分にツッコミを入れた。
「ちょっと寄り道しよっか」
「どこ?」
「んー、、海?」
「あは、いつもやん。」
丈くんと仕事が被った日は、次の日仕事があろうがなかろうが、どちらかの家に泊まるのが、なんとなく当たり前になっていた。
今日は、丈くんの家。
その前に、大好きな海に連れていってくれるみたい。
「今日晴れてたから絶対綺麗だよ」
「夜じゃなんも見えへんやん」
「見える見える」
子どもみたいに無邪気に笑う
キラっ、と光りに反射する明るい艶やかな茶髪。
少し、昔の丈くんといるような気分になれる。
「お腹空いた」
「途中コンビニ寄ろう」
「丈くん買って」
「仕方ないなぁ」
片手で余裕そうにハンドルを扱う。
口元は笑って、目線は少し俺の方に向く。
これも好き。
ちょっとでも俺を視界に入れようとしてくれるから。
赤の信号が見えてきて、ゆっくりと徐行していき車が止まった。
「流星、俺のこと見すぎだから」
「そんなことない」
「めっちゃ見られてる」
「自意識過剰」
ひっど、
そう笑って、伸びてきた手が俺の頬をつついた。
ぷく、と片方の頬を膨らませてみると、むにっとつまんでくる。
「かわいい」
「知ってる」
「それテレビだけのセリフじゃないんや」
「うるさいで」
ぱくっ、とその指を咥えてやると、
それえろい、なんてまた無邪気に笑って俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時