mc 可愛い子にはトゲがある? ページ31
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俺は心が狭いのだろうか。
「流星くん!ちょっと見て。これ、どう?」
黒いブルゾンを着て、くるくる回るけんと。
愛嬌があって、誰が見てもかわいい。
「かわいいと思う。似合うで。」
「やろ。みっちーにも見せてこよっ。」
…あ、みっちー。
ぴったりのタイミングで楽屋に現れた、誰がどう見たってかっこいいみっちー。
謙杜はぱたぱたとみっちーの方へ駆けていった。
二人が並べば、もうお似合いとしか言いようがない。
「⋯⋯⋯⋯はあ。」
俺もあんなかわいかったら、みっちーに告白しようと思えるのに。
「おーい、落ち込まない!流星。」
俺の隣に座る丈くん。
俺のことを心配してくれてるっていうのはわかる。
俺の片想いを理解してくれて、ずっと応援してきてくれてるから。
「そんな悲しそうな顔すんなよ。」
「やって⋯⋯お似合いじゃん。謙杜とみっちー。」
胸がずきんと痛む。
自分の好きな人の恋を受け入れられない自分に、最近やたらと心の狭さを感じてしまう。
「⋯まあ、雰囲気はそんな感じ。」
はい、と丈くんは俺にミルクティーが入ったペットボトルを差し出した。
気持ちは嬉しいけど、甘くてあんまり飲む気にはならない。
「でも、みっちーの好きな人は謙杜やないからなぁ。」
「⋯なにそれ、」
「⋯あ、やべ、」
ずっと俺の相談相手になってくれた丈くん。
みっちーに関する情報は包み隠さず言ってくれてたはずなのに、そんな肝心なこと、俺は知らない。
俺はてっきり、みっちーは謙杜が好きなんだと思ってたのに。
「俺、そんなの知らんで!」
丈くんは、言っちゃったよって顔で明らかに焦ってる。
なんで。なんで言ってくれなかったの。
「教えて、知ってるでしょ丈くん。みっちーの好きな人。」
「⋯いや〜、知らないなぁ、」
「嘘はいらないから!」
肩をぐわんぐわん揺らすと、丈くんは決まりが悪そうに俺を見て、
「⋯みっちーが、流星には言うなって。」
と、言った。
「いつから知ってたん⋯?」
「⋯わりと前から。」
どうして言ってくれなかったんだろう。
考えた末の、俺の結論は。
「⋯丈くんは優しいね。」
「え、あ!おい!流星!」
みっちーの好きな人が、謙杜でもなければ俺でもないってこと。
きっと、俺を悲しませないために、黙っててくれたんだね。
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時