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…
送られてきた数点のデザインを見比べて、商品のイメージにぴったりなものがどれに近いか考えていく。
初夏のものだから、春よりはさっぱりとしたものにしたいし。ターゲットにする女性ウケを狙いたい。
色々考えた上で、ひとつに絞り、デザイン会社に連絡を取って。発注を進めるための処理をする。
予想外の仕事で、結構疲れたな。なんて、思ってると。
「…まだ終わらないんですか？手伝いますよ。」
心配そうに声をかけてくれたのは、岩本くんだった。
彼もまた、たまった書類を会議室で片付けていてこんな時間になったんだと苦笑いした。
喫煙室帰りなのか、ほんのり煙草の匂いがする。
「あ、ありがとう。もうすぐ終わるよ。大丈夫。」
「そんな、無理して笑わないで下さい。」
ピンと張りつめていた糸が、少し、緩むような気がした。
「Aさん、なんかあったんでしょ？」
私の隣の席に座って、距離を詰めてくる。その瞳に、すべて見透かされてるみたいで。
「…岩本くんて、ホントによく見てるよね。そういうとこ、やだ。」
「え、」
「上司は強くないといけないでしょ、だから気づかれないようにしてたのに。」
私を見る岩本くんの眉が少しずつ、下がっていく。
「…なんか食いに行きませんか？そんな顔してるの見たら、ほっとけないです。」
ほっとけない、という彼を見るとこっちの方がほっとけない顔してる。
まったく。
良くも悪くも私のことを分かってる後輩だ。
「岩本先生のおごり？」
「ふは、いいですよ。」
「ちょっと旦那にLINEだけするね。」
「はい。」
会社の子とご飯食べていきますとだけ送って、駅前の居酒屋で飲む事になった。
「旦那さん、理解あるんすね。」
2杯目のビールを飲みながら、岩本くんがつぶやいた。
「理解？」
「彼女が男と二人で飯なんて。俺絶対無理なんですよ。」
顔をしかめながら話すのがおもしろくて、つい笑ってしまうと、
「笑うとこじゃないです。」
「ごめん。岩本くんそういうタイプだったよね。」
「まぁ…はい。」
「いいんじゃない？彼女のこと大事に思ってるってことでしょ。私束縛されなさすぎて。いてもいなくてもいいんじゃないかなって思うもん。」
「いや、いてくれなきゃ困りますよAさん。」
「ありがとう。そんなこと言ってくれるの岩本くんぐらいだよ。」
いてもいなくてもいいんじゃないか。
それは、結構感じていることだ。
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みち(プロフ) - うみ♪さん» うみ♪さんコメントありがとうございます。以前も読んでくださってたんですね。不思議なめぐり合わせ、とても嬉しいです!また読んでやってくださいね。 (2021年1月31日 15時) (
レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
うみ♪ - こんばんは！初コメです！ケンティーメインのお話の時から好きで、ずっとまた作品見たいなあと思っていてひーくんメインのお話で覗いて見たら作者にみちさんのお名前が！！こんなことってある！？ってなりました！過去作も読ませてもらってます！ (2021年1月31日 0時) (レス) id: ebee9b3126 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - まりんさん» コメントありがとうございます。このふたりには幸せになってほしいので。その後を書くことにしました。これからもよろしくお願いします。 (2020年8月27日 20時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
まりん - 続編ありがとうございます。幸せな2人の今後の展開がとても楽しみです。更新ありがとうございます。 (2020年8月24日 22時) (レス) id: f071218485 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - おこりさん» コメントありがとうございます。更新なかなかできない時もあったのでお待たせしていたかもしれませんが、読んでいただいて嬉しいです！また番外編書くつもりなので、また読んでやってください！ (2020年8月17日 12時) (レス) id: 375937212d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みち
| 作成日時：2020年2月24日 21時
