9話side紫 ページ9
仕事を片付けるために、部活を少し抜ける。
職員室までの道のりを歩いていれば、前から歩いてくる人物に目を見張った。
全身びしょ濡れで、少しだけ覗く足が所々青くなったり、赤く腫れている。
さらには顔を抑えた手の間からぽたぽたと滴り落ちる血。
一瞬驚いて立ち止まったものの、体は弾かれるように彼女へ向かった。
紫「A!?どうしたそれ!?」
駆け寄って声をかけた俺にビクッと反応すると、『何でもないです…』と言って通り過ぎようと横をすり抜ける。
紫「お前っ…ふざけるなよ!」
思わず怒鳴ってしまった。
しかし彼女の足を止めるには十分だったようだ。
紫「そんな怪我して、何がなんでもないだ!すぐに手当しなきゃダメだろうがッ!」
グッと彼女の肩を抱くと、体は冷え切っていた。
『いっ…ぃた…』
小さく呟かれた言葉に、思わず顔を覗き込む。
紫「どうした?」
『さっ…触らないで…下さい。痛い…』
言葉の意味を察してAの腕を捲れば、足と同じような痣。
紫「これ…誰にやられた?」
俺の問いに、首を横に振るばかり。
紫「とりあえず…手当が先だ。」
何も言わない彼女に、こんな酷い事をする人間に、生徒を守れない自分に、腹が立った。
保健室につくがソソコ先生は不在。
とりあえずソファにAを座らせると、薬品棚をあさって手当に必要なものを取り出す。
消毒や包帯、シップなど手に彼女の前に座る。
紫「血は…どこから?」
顔に当てた手を外させると、どうやら鼻血らしい。
しかし驚いたのは目のあたりが青く腫れあがっている事。
紫「何でこんな怪我…」
『ぶつけました。』
紫「こんな事されてまで、相手を庇う必要はあるのか?」
『何の事…ですか?』
頑として口を割らないA。
紫「痛いだろ…?」
ソッと腫れあがった部分に手を伸ばすと、体をキュッと縮こまらせる。
優しくそこに触れれば、小さく「痛い」と漏らした。
紫「…ソソコ先生もいないし、病院に行った方がよさそうだな。」
一通り消毒などを終えるも、一向に止まらない鼻血。
顔も先ほどより腫れあがっている。
『いえ。大丈夫です。』
紫「ダメだ。荷物は教室か?」
『…』
だんまりを決め込んだAにため息をつきながら、携帯を取り出す。
休憩中だったらしく、すぐに電話に出た。
紫「あ、奏?悪いんだけど、教室行ってAの鞄取ってきて?」
奏と会話していれば、Aがチラチラとこちらを伺っていた。
85人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時