16話side青 ページ16
AAという人物は、風景に溶け込んでいる。
既にそこにあったかのように。
気配を消すことが上手く、いつの間にかそこにいることはよくある。
朝もいつの間にか席に座っているし、帰りもいつの間にかいない。
しかし今日は違った。
登校してきた彼女はふらふらと危なっかしい足取りで、その体には痛々しい傷跡と包帯。
俺はもちろん、クラスメイトもそんな彼女を驚いた様子で見つめた。
いつもならば注目されることを嫌う彼女が、今日は気にも留めない…
いや、気に留めている余裕がないと言った方が正しいのか…
フラフラと席までたどり着けば、ゆっくりと席に着いた。
何でもない動作なのに、彼女にとっては重労働かのようだ。
そして気が付いたことがもう一つ。
彼女を他のクラスメイトとは違う視線で見つめる人たち。
どこか疑るような、鋭い視線で彼女を見つめている。
そのまま数人でコソコソと会話していた。
彼女たちが行動を起こそうと席を立った時、丁度チャイムが鳴った。
赤「ぎりぎりセーフ!」
チャイムが鳴り終わる間際に騒がしく登校してきたのはアキラ。
両手を目一杯広げてセーフと呟いている。
青「ぎりぎりアウトです。」
赤「んな硬い事いうなよー!いいだろー?先生来てないんだし。」
ドカッと席に荷物を置いたアキラへと振り返れば、俯くAさんが視界に入った。
青「そういう問題ではないでしょう。これで何回目の遅刻だと思ってるんです?」
赤「うるせーなー。小さい事気にすんなよー。そんなんじゃ将来はげるぞ。」
青「はげません。」
やはり今日の彼女はどこかおかしい。と思いながらもアキラと言い争っていれば、先生が気の抜けた挨拶をしながら教室へ入ってきた。
紫「何?まーたお前ら喧嘩?いい加減、大人になんなさいよー。」
青「喧嘩ではありません。アキラが遅刻してきたので注意してたんです。」
赤「だから!ぎりぎりセーフ!」
青「ぎりぎりアウト!」
紫「はいっそこまで―!アキラは今後気を付ける事!奏も今日のとこは勘弁してやってくれ。」
青「甘やかすのはアキラのためになりませんよ。」
赤「さっすがケント先生!」
紫「その代り次やった時は覚えてろよ?」
赤「はっハイ!」
紫「な?これでいいだろ?」
青「仕方ありませんね。」
パチンとウインクを飛ばして来た先生に渋々頷けば、チラッと視線が動いた。
その先にいたのは紛れもないAさん。
先生もどうやら異変に気が付いたらしい。
85人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
炭酸(プロフ) - 剣城萌江さん» ありがとうございます(^^)こんな駄作ですが…先生をより好きになるお手伝いが出来て私は幸せです! (2017年7月8日 10時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 最近リア友にアルスマグナを布教され、見事に沼にハマった新米メイトです。ケント先生推しなので最初からドキドキワクワクしました!これを読んでもっと先生のことが好きになりました(*´ω`*) (2017年7月6日 16時) (レス) id: 869f1bba53 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - あさべるさん» ただいまです!ありがとうございます(^^)読みに来てください!ゆっくりではありますが、書き始めてますので、気長にお待ち下さい(^_^;) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - アメさん» ご無沙汰してます。長らくお待たせしました(;´Д`)お気遣いありがとうございます(^^)アメさんもお気を付けて! (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - 韮さん» ただいまです!はい!のんびり楽しく頑張ります(^^) (2017年6月4日 23時) (レス) id: 35aaf36854 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:炭酸 | 作成日時:2017年2月22日 0時