raining ページ7
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『東京は夕方から次第に雨になり気温も上がらないため一枚羽織って出かけましょう。 帰りが遅い方は傘を持っていた方がいいですね。 そうですね。』
「はぁ」
まだ日は差しているけど今にも雫が落ちてきそうな霞んだ空が、自分の今の気持ちを映しているようで気が重い。
・
昨日からずっと落ち着かないせいで、早く会社に着きすぎてしまった。
冷たいデスクに頬をつけ目を薄める。
ぞろぞろとオフィスに入ってくる人たち。
光先輩…今日もリストバンドしてる…
重い体を起こして仕事につき始める。
目の前の事に集中すると気が紛れた。
・
素早く仕事を片付けて山田のもとへ駆け寄る光先輩。
あぁ今日は二人で約束していた日か。
よかった…
何だか気まずくて、何があったわけでもないけど、
光先輩と顔を合わせられなくて。
それに先輩も俺を避けているようだったから、
少しだけ残って仕事をする。
・
・
外を見るともう雨が降り始めていた。
ﾋﾟｺﾝ
伊野尾慧『今日ゼミ仲間と飲んでくる』
「ふぅ」
家に何もないし、何か作る気もしない。
適当にコンビニで買って帰るか。
もう19時でも明るいんだな…
外に出ると梅雨寒の季節外れの寒さが身を冷やした。
ｻﾞｰｻﾞｰｻﾞｰ
雨が強くなってきた。
急いで帰ろう。
________________ 先輩
「ひ かる先輩…」
「ゆ…と」
そこには傘も差さず、薄いコットンのシャツだけを纏って立ち淀む光先輩がいた。
雨でぐしゃぐしゃに濡れ、弱りきった瞳で俺を見あげる。
頬を伝う血。
急いで傘を差し出す。
「先輩何してるんですか？！風邪ひきますよ」
色んな疑問が浮かんできたけど、とりあえず今はこれ以上濡れないように。
「いい。あっち行け」
「嫌です」
逃げようとする先輩の腕を掴む。
「家に帰りますよ」
伏せた目から行き場を失った涙が溢れ雨と混じり形を無くす。
傷口に滲みて、下唇を噛む。先輩の可愛いくせ。今は見たくない。
抵抗すると思ったけど、あっさりと手を引かれ歩き始める先輩。
心ここに在らず、意識のない足取りで。
先輩、聞かせて下さい。全部。先輩の全部。
抱えていること。秘密。すべて。
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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (
レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです！スピンオフ待ってます！ (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆんぴょ | 作成日時：2019年6月7日 11時
