愛してる ページ44
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先輩への気持ちの重さに気付かされた。
こんなに…こんなに、忘れられない。
好き、先輩。
でももう先輩との関係は戻れない。
分かってる。
だから、俺は慧と向き合わないと。
__そう決めた時、俺の弱い決意を試すような鐘が鳴る。
姿を確認し、迷う扉をあける。
「ゆうと…」
「何してるんですか、来ないでって言ったのに、行きますよ」
先輩の手を帰る方向へ引く。
「だったら、俺も言ったもん!」
取られる手を抵抗しながら、強く言い返す先輩。
「体だけでもいいって」
先輩にこんな事言わせるなんて最低だ。
「いらないです」
「や…お願い…っ」
涙声で訴える。
「迷惑かけないから…」
「大切にしなくていいから…」
「好きになってくれなくてもいいから…」
「もう裕翔しかいないの…」
何言ってるの?
その言葉でハッとした。
「薮さんがいるでしょ?!俺の事好きって言ったて」
「いないよ…言ったじゃん…」
「え…」
足を止め、振り返り先輩を見る。
「ゆうとのこと、ちゃんと考えてるって、、俺もう薮と別れてるよ…」
涙を流しかながらあきれて言う。
「ごめんなさい…っ」
先輩の肩に手をつく。
「ごめんなさいっ」
「なんでなの?どうして一緒にいちゃいけないの?俺の事嫌い?」
「き、らいです…」
「嘘だ…!」
ただ首を振る。
「わかったよ…もうゆうとのこと嫌い。なんでこんな事したの…大好きだったのに…なんで…大好きに…させたの…っ」
「ごめんなさい」
謝ることしか出来ない。
手足が震えて思うように動かない。
泣き腫らした顔を腕で隠しながら走って帰っていく先輩。
大切にしたくなかった訳じゃない。
好きじゃなかった訳じゃない。
今更届かない思いが氷のまま溶けずに胸を冷やす。
なんで俺は先輩の事ちゃんと知ろうとしなかったんだろう。
先輩は俺の事だけ考えて、薮さんとけじめをつけて向き合おうとしてくれてたのに。
せめて、本当の事、慧との事を伝えられてたらこんな事にはならなかったんじゃないか。
そんな事も分からないなんて。
どこまで戻れば2人は笑い合える?
見えないほど小さく深く間違い続けたのかな。
先輩の澄んだ瞳を曇らせた俺はきっとすべてが遅すぎた。
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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時