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見えない ページ43






ガチャ

「裕翔おはよ」

予告もなく訪れた慧。
朝起きると目の前にいた。

「はー、1週間、長かったよ〜、こんな裕翔を1人にしとくの不安だったし」

「え?」

「俺の約束分かってるよね…?」

「もちろん…」

昨日だって…
家に来てしまったけど昨日で最後だ。

「俺もできるならされたいよ裕翔に」

「え?」

「ふふっゆうとにおかされたいね…」

なにその全て見透かしてる様な言葉。

「俺が何もしないと思った?」

壁に手をついて迫られる。

「えっ…」

「管理人さん、あの人俺の事好きみたいなんだよね…今朝会って防犯カメラ見せてもらったの。ふふふ」

「何も…してないよ」

「えぇ?なにぃ?」

「何もないって、」
「あ?なに?何も?家に上げたってこと?」

「えっ…?」

「ふふっ、裕翔ってさぁ、ぴゅあでかわいい」

「は?」

「ウソだよ。ウソ、防犯カメラ見せてもらたってウソ。はははっ」

驚いて沈黙していると、再び手をついて。

「えっち…したの…?」

俺の輪郭を舐める。

「…っ、てないっ…」

「いいじゃん、しようよ俺と」

キスをしながら俺の服を脱がそうとする。

両手で思い切り跳ね返す。

「ふっ、そんなに無理?」

「俺、慧の事ちゃんと好きだよ、だからこんな事やめてよ」

「俺も好きだよ?」

困った顔で見つめてくる。

「そうじゃないっ…」

「そうだよ…そういう事…好きってさ、そういう事。キスしたいな、身体に触れたいな、抱き締めたいなって…そういう事」

目を伏せて純な瞳で話す。

今にも崩れそうな細い肩を揺らして。

「ごめん、ほんとごめん、俺のせいで」

立ち上がり、慧の肩を持つ。

「じゃあしてよぉ!!」

涙目で訴える。

「それはダメ…だってそんな風に思ってないのにするなんて、愛情のない行為なんて…」

言いながら昨夜の事を思い出す。

「へへ…裕翔は優しいね、しっかりしてる…けど、それが人を傷つけてるんだよ」

そう言って俺から離れていく。

どこ行くの?

「慧!待って!もう、元には戻れないかな…」

「じゃあ裕翔は戻れる?」

「戻れるよ!」

「先輩のことも忘れる…?」

「忘れよう…としてるよ……正直、上手くいかないけど」

「そっか…そんなに好きなんだ…」

「好きじゃない」

「え?」

「もう好きじゃない…」

言い聞かせる。

あれ、視界が。

ぼやける。

あれ、涙が。

慧も……



狭まる視界の中で、
慧が出ていくのを見届ける。




愛してる→←おおうそつき



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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時

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