_. ページ40
・
「彼女って、いつから居たの…」
朝会うなり、不安そうに気まずそうに俺に聞いてきた。
「最近です。ずっと好きだったって」
根も葉もない嘘を付くため慧に当てはめて答える。
「そっ…か…おれ……ううん、大切にしてあげないとね」
なにか言おうとした事を飲み込んで、
すごく悲しそうな顔をする。
「はい」
後ろを振り返り小走りで去っていく。
先輩…先輩は俺の事本当に好きだったのかな。
けじめじゃなく、自分の気持ちで、好きでいてくれたの…?
それからの事、先輩は会社で挨拶をすることはあっても、
プライベートでは一切関わって来なかった。
関係性は変わらないまま。
先輩が俺に態度を変えないでくれたから、
仕事をしづらい事もなく。
ただ、変わったのは、
先輩との心の距離が大きく出来てしまった事。
口に出さないだけで。
もう元には戻れない。
でもそんなの、約束を守るため、先輩を守るためなら、どうってことない。
俺も辛いけど、少しづつ新しい生活に慣れようとしていた時だった。
帰りに薮さんに出会う。
なんか親し気な、少し困った笑顔でこちらにやってくる。
「お疲れ様です。お久しぶりですね」
「お疲れ様です!」
「その…どうですか?その後は…」
「はい?その後…ってなんでしたっけ?」
「いや、光と、ですよ」
「先輩と?なんですか?」
「え?」
険しい顔をする。
「どうしました?先輩が何か…」
「失礼ですが、最近光とあってます?」
「いえ…会社で会うだけですよ」
最近…?前まで会ってた事は薮さん知っているの?
少し考えてからまた話し出す。
「あの、もう一つ質問しても?」
「ええ、なんでしょう?」
耳元に寄り小声で聞かれる。
「失礼ですが、パートナーはおられるんですか?」
「いえ、いないですよ」
「そ…うですか、、てっきり男前だから、いるのだと思っていましたよ」
「そんな!薮さんに言われるなんて」
「すみませんね、いきなり野暮な事を聞いてしまって」
「いえいえ、では」
何故薮さんがあんな質問をしてきたのか、
この時なんで俺は考えなかったのだろう。
・
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時