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「彼女って、いつから居たの…」

朝会うなり、不安そうに気まずそうに俺に聞いてきた。

「最近です。ずっと好きだったって」

根も葉もない嘘を付くため慧に当てはめて答える。

「そっ…か…おれ……ううん、大切にしてあげないとね」

なにか言おうとした事を飲み込んで、
すごく悲しそうな顔をする。

「はい」

後ろを振り返り小走りで去っていく。

先輩…先輩は俺の事本当に好きだったのかな。

けじめじゃなく、自分の気持ちで、好きでいてくれたの…?




それからの事、先輩は会社で挨拶をすることはあっても、
プライベートでは一切関わって来なかった。

関係性は変わらないまま。

先輩が俺に態度を変えないでくれたから、
仕事をしづらい事もなく。

ただ、変わったのは、
先輩との心の距離が大きく出来てしまった事。

口に出さないだけで。

もう元には戻れない。

でもそんなの、約束を守るため、先輩を守るためなら、どうってことない。




俺も辛いけど、少しづつ新しい生活に慣れようとしていた時だった。

帰りに薮さんに出会う。

なんか親し気な、少し困った笑顔でこちらにやってくる。

「お疲れ様です。お久しぶりですね」

「お疲れ様です!」

「その…どうですか?その後は…」

「はい?その後…ってなんでしたっけ?」

「いや、光と、ですよ」

「先輩と?なんですか?」

「え?」

険しい顔をする。

「どうしました?先輩が何か…」

「失礼ですが、最近光とあってます?」

「いえ…会社で会うだけですよ」

最近…?前まで会ってた事は薮さん知っているの?

少し考えてからまた話し出す。

「あの、もう一つ質問しても?」

「ええ、なんでしょう?」

耳元に寄り小声で聞かれる。

「失礼ですが、パートナーはおられるんですか?」

「いえ、いないですよ」

「そ…うですか、、てっきり男前だから、いるのだと思っていましたよ」

「そんな!薮さんに言われるなんて」

「すみませんね、いきなり野暮な事を聞いてしまって」

「いえいえ、では」


何故薮さんがあんな質問をしてきたのか、

この時なんで俺は考えなかったのだろう。





嘘→←絶望



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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時

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