勝手だよ ページ32
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バスルームから出てきて、ひっそりとリビングに顔を出す先輩。
「ゆ…ゆうと…ごめんね、ありがと…」
「あ、いえー大丈夫ですか?」
「うううん!」
目をきょろきょろさせて、気まずそうにすしている。
「何があったんです?…先輩から家にくるなんて」
「あ…えっと、図々しくごめんね。」
「いえ、それは全然、気にしないで下さい。何があったか、良かったら聞かせてくれませんか?」
「…うん、ゆうとにはいつもお世話になってるもんね。言うよ」
「ありがとうございます」
「さっきさ、ゆうとに傘、貸したでしょ、それ薮見てたみたいで、なんで貸すんだ、そんなに大事な奴なのか?ってやけにしつこくて、後輩だからって言ったんだけど、もうスイッチ入っちゃったらいつも通り止まらなくてさ。ある事ない事言いだして、そんなに好きならあいつのとこ行けよって閉め出されちゃった。いつも薮から逃げてるくせに、追い出されたらすごく、すごくショックでさ。気付いたらここまで来ちゃってた…」
「そう…だったんですね。俺のせいで…ごめんなさい」
「ううん!ゆうとは何も悪くないよ!今日だってもうゆうとに頼らないって決めてたのに…」
「来ちゃった…??」
「うん…ごめんなさい」
「はい」
「…え」
先輩のごめんなさいを俺がそのまま受け取った事に、不安そうに驚いている。
そうですよね。いつでも来ていいって、気にしないでいいって言ったのにね。
「勝手すぎますよ。俺のこと避けたり、寄ってきたり…」
「ゆうと…ほんとにごめんなさい」
涙目になりながら、俺を一生懸命見つめて謝る。
「ねぇ、もう避けないで、俺の事」
右腕を先輩の左肩に回して抱き寄せる。
先輩は肩をグッと強張らせて。
「うん…ごめんなさい、ゆうと」
恐々と俺の腰に手を回してくれた。
「ん!いいですよ!約束ですからね?」
「…うん」
腕の拘束を解いてあげると、
恥ずかしそうに首を逸らせて頷く。
「ふふ、怖がらないで?いつも通りリラックスしててください」
「うんありがと…」
そうは言うけど、ソファの下で体育座りをして固まっている。
「て、テレビ…みたい…」
少しの沈黙の後、ようやく絞り出す様に喋りだす。
「あ、はい、」
ピッ
静かな部屋にバラエティー番組の笑い声が小さく溢れる。
「チャンネルは?」
「これでいい」
まるで難しい番組を見ているような硬い表情でTVに集中する先輩。
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ゆんぴょ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!早めにスピンオフupしますね♪ (2019年8月17日 22時) (レス) id: 5a6b953178 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - とってもおもしろかったです!スピンオフ待ってます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 8d82e99298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆんぴょ | 作成日時:2019年6月7日 11時