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Aがにこりと兎のぬいぐるみを見て微笑んだ時、敦を含む4人の疑問は更に増えていった。

4人を代表するかのように敦が声を硬くしてAに話を聞こうとした。

「あの……君って、一体———」
『ありがとうございます、手間を掛けてしまいましたね』

Aは父である草太に似た柔らかい笑みを浮かべながら、4人の目を見て頭を深く下げた。

『先程も言いましたが、私の名前はA。宗像Aです、この子はダイジン』
「えっと、僕は中島敦です」

敦を筆頭に4人がそれぞれの名前を言うと、Aは4人の名前を口の中で転がすように小さく繰り返し、ふわりと微笑んだ。

「クニャー」
「「「「わっ!」」」」

その時、突然全員が座っていたベンチのすぐ側にあったテーブルの上に小さなシルエットがあった。

そのテーブルにちょこんと座っているのは、小狐だった。

『この光景、ずっと前にお母さんから聞いたような……』
「A?」

Aとダイジンがそう話している最中、敦はベンチに兎のぬいぐるみを置くと、その小狐に近づいて言った。

「太宰さん、この子痩せすぎじゃないですか?」
「そうだねぇ……」

手のひらサイズのその小さな体は骨張ってげっそりと痩せており、黒い目だけがぎょろりと大きかった。

「あっ、ちょっと待っててね」

敦は公園に設置されている水飲み場から、水を汲んで自身の使い古しても使用している鞄から、綺麗なタッパーに水を入れると、何かないかとカバンを漁り、たまたまなのかチーズを取り出した。

子狐はスンスンと敦の手に乗せられたチーズの匂いを嗅ぐと、慎重にひと舐めし、それからガツガツと食べ始めた。

「相当お腹が空いていたんだね」

敦たち4人は、子狐の周りに集まって肋の浮き出た体を眺めると、この辺りでは殆ど見かけない動物だと思った。

「お前、もしかしてあの地震から逃げてきたのか?怖くはなかったか?」
「ぷぷぷ……中也が動物に話しかけてる」
「あぁ!?糞太宰……テメェ……」

子狐は4人の顔を真っ直ぐ見つめると、またもや「クニャー」と答えた。

「お前、利口だなぁっ!」
「太宰さん、この子社で飼いませんかっ」
「いいと思うよ……君、私達の社の子になるかい?」

太宰がそう子狐に話しかけると、子狐は「うん」と答えた。

「「「へ?」」」
「僕は、夢でも見ているのか?」

子狐から返事が返ってきたその異様な光景に、Aとダイジンは微かに目を見開いていた。

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設定タグ:すずめの戸締まり , 文スト , クロスオーバー   
作品ジャンル:アニメ
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虚無虚無ぷりん - すずめの戸締りも文ストも好きなので嬉しいです!応援してます! (2023年2月2日 11時) (レス) @page6 id: d13357cef5 (このIDを非表示/違反報告)
7 - うわぁ、待ってください。好きです((応援してます! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 9d95f1ffe8 (このIDを非表示/違反報告)
nemuruneko0315(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年1月30日 15時) (レス) @page2 id: bad30b3ef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シフォンヌ | 作成日時:2023年1月30日 0時

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