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A達が走り去った方向に4人は走っていると、漸く視界の先にその姿が見えてきた。
Aは自身の姿がぬいぐるみの為、脚をもつれさせながらも人通りの多い道を駆けていた。
そしてその先からは鏡花くらいの年の男女が話しながら歩いてきていて、ぬいぐるみ姿であるAがそのすぐ目の前で転んで停止した。
「これ……ぬいぐるみ?」
「かわいい!」
そんな会話を繰り広げる彼らの前で、Aはすくっと立ち上がると、バランスが取れないせいかフラフラと彼らの周囲を回っていた。
男女の周りを回っていたAは、漸く方向を定めることが出来たのか、Aは彼らから離れて再び人通りの多い道を駆けていった。
4人はAの先に小さく狐の姿もあり、Aと狐がいるその先には港があった。
このヨコハマでもたまに見かけるヤンキーみたいに埠頭にたむろしていたウミネコが、一斉に飛び立った。
その場所を狐が駆け抜け、うさぎのぬいぐるみが駆け抜け、少し遅れて4人も走り抜ける。
狐の向かう先には、多くのお客さんが乗船中のフェリーがあり、嫌な予感を感じつつも、4人は兎に角走った。
追いかけながらも4人が乗船したフェリーに飛び込んだ矢先、アナウンスが流れた。
《大変長らくお待たせ致しました。本日正午過ぎに発生した地震により出港が遅れておりましたが、安全が確認されましたので、本船は間もなく出港致します》
いつもは遠くから聞こえる汽笛が、鼓膜を圧する音量で辺りに響きわたり、傾いた午後の陽射しに押されるように、狐とぬいぐるみと4人を乗せたフェリーはゆっくりとヨコハマの港を離れ始めた。
「太宰さん、この船出港しちゃいましたよ!?」
「敦くん、仕方ないさ……兎に角今は、Aちゃんとあの狐を見つけるのが先だよ」
「今回ばかりは、手前に賛成だな。糞太宰」
「コホコホ……これしきのことで騒ぐとは、流石猛獣である貴様だな、人虎」
4人は乗船したフェリーの中でそんな会話を続けていると、休憩スペースにいた男性達が動物とぬいぐるみが追いかけていたという話が聞こえた為に、4人は又もや船内を小走りで駆けていき狐とAを探すこととなった。
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虚無虚無ぷりん - すずめの戸締りも文ストも好きなので嬉しいです!応援してます! (2023年2月2日 11時) (レス) @page6 id: d13357cef5 (このIDを非表示/違反報告)
7 - うわぁ、待ってください。好きです((応援してます! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 9d95f1ffe8 (このIDを非表示/違反報告)
nemuruneko0315(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年1月30日 15時) (レス) @page2 id: bad30b3ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シフォンヌ | 作成日時:2023年1月30日 0時