也川塗とそのお姫様

塗の誘い方　2 ページ24

貴方side

結局昨日はあのまま眠ってしまったから
改めて作戦実行

今日はなんと、私の大嫌いなお化け屋敷に来た
これも今日子さんの作戦
私は全力で拒否したのに、

掟:男性を夢中にさせるならお化け屋敷で怖がるのが一番です！

なんて言って無理やりやらされた
塗は私が大嫌いなの知ってるから疑問に思うのも当たり前

塗:本当に大丈夫？

あ:うん……。

塗:絶対無理って顔してるよ？帰ろうか？

このまま素直に帰りたいと言えたらなんて楽だろう
"大丈夫だから！"と言い張ってついに中に入った

あ:……。

塗の服の裾を掴んで、重い足を前に出す

塗:しっかり掴まってていいよ。

その言葉がとてつもなく嬉しい
けど喜べる余裕なんてなくて、常に恐怖と闘っている私は、果たしてこんなんで上手くいくのだろうかと不安になってきた
その時

あ:きゃーーっっ！！！ｷﾞｭｯ

思わず塗に抱き付いた
だって貞子みたいなのが襲ってくるんだもん！
でも…ただ塗に抱き付いているんじゃなくて、あまりの恐怖で私ってば塗の事壁に押さえ付けちゃってる

塗:っ……！？

私はもうパニックで思考が停止してしまい、動く事も出来ずにいた
その時、震える私を塗の手が優しく包む

塗:大丈夫、大丈夫だよ。

片手で頭を撫で、片手でｷﾞｭｯと抱き締める
その後、私は歩くのもままならなく、塗が支える形で出口を出た

塗:今、水持ってくるから。

行こうとする塗を引き止める

あ:いや…行かないで…。

塗:すぐ戻るから。

そうは言っても私の手が離れるわけもなく
塗は仕方ないといったように私の隣に座った
もう二度と行くか、お化け屋敷なんて…

塗:貴方、もしかして何か隠してる？

あ:えっ…？

塗:いや、急にお化け屋敷に行きたいなんて、貴方らしくなかったから…。何かあったのかなって。

あ:……。

本当の事言おうかと思ったけど、まだ恐怖から解放されなくて上手く話せない
その時、今日子さんが来た

掟:やっぱりダメでしたか…。

塗:やっぱりって…？

掟:塗くんを誘おうっていう作戦を実行してました。

塗:え…？

塗が私を見る

塗:じゃあもしかして、昨日からやけに甘えてきたのも全部…。

掟:作戦です。

あ:ごめん…。

やっと発した言葉
塗が私の手を取る

塗:そんな事しなくても、俺はいつだって貴方にときめいてるよ？ずっと貴方の事見てた。貴方が気付いてないだけ。

見つめられる瞳
私は塗に抱き付いた
もう塗しか見えない 虜だよ

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