隣人さん ２２ ページ22
プロジェクト開始から中野先輩がやけに私の隣にいるようになった。
チーム内では私と中野先輩は歳が近いというのもあり、ペアを組めば効率よく進むという上司の提案でタッグを組まされた。
私たちのデスク同士は近かったので、それも配慮して組まされたのだと思われる。
どちらかがツマづけばどちらかがサポートすればいい。
確かに非常に効率が良く、チームの業績としては常にその日のノルマを達成することが出来ていた。
つまり二人一組のペアを作り作業するやり方は成功している。
…ただ困ってるい事があった。
それは、必要以上に距離を詰める中野先輩のこと。
例えば
「Aちゃんー、これお願いね」
呼べばいいのにわざわざ私のデスクまで足を運び書類を渡してくれる。
ここまではいいが(後輩的立場から言わせてもらえばよくないが)、問題はその距離感である。
書類を渡すだけなのに体が近い。
肩に手を置かれグイッと顔を寄せられることもしばしば。
そして、その光景を隣から見ているコネシマくんの冷たい目が痛いのだ。
更に女性社員の目線が強くなったのは言うまでもない。
☕
プロジェクト開始から三日目。
休憩スペースに逃げ込んだ私。
さすがに近すぎる中野先輩から距離を取るため、あまり利用されていない別棟の自販機前に来た。
椅子に座りボーッと机を眺める。
居心地が悪い、非常に居心地が悪い。
とにかくコネシマくんの目が刺さる。
じっと見つめている訳では無いのだが、時々凍りついた瞳と目が合う。
すぐ画面へと目を向ける彼だが、その後の当たり障りのない会話もどこか冷たいような気がしてきた。
…プロジェクトが開始してからずっとこんな調子だ。
最近は親睦を深めるためとかなんとかでチームで飲みに行くことが多くなった。
逆を言えばコネシマくんと飲みに行く回数が減った。
休憩時は彼は喫煙所へ行ってしまうので話すことも前からそんなになかったし。
「お疲れ〜」
柔らかい声が頭上から聞こえた。
ゆっくり顔をあげれば目の前にはカフェオレが。
「ほい」
「シャオロンくん…」
「すごいやろ〜、Aちゃんがカフェオレ好きなん覚えててん」
有難く受け取れば隣にそっと腰を下ろす彼。
「これいつ買ってくれたの？」
「え、今さっきやけど。Aちゃんの後ろでガコンガコンやっとったよ。もしかして気づいてへんかったん？」
「全然気づかなかった」
「いや怖っ」
私の方が怖いのだが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろぜ - 軽い気持ちで読んだら大好きになりました！！にやにやが止まりませんね。これからも頑張って下さい！ (6月23日 17時) (
レス) @page50 id: 3f33f1430a (このIDを非表示/違反報告)
ななし - この話すごく大好きです！読んでいてきゅんきゅんしました！これからも頑張ってください！！ (2022年12月12日 19時) (レス) @page50 id: 9bdb69c685 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ - ううううううううううううう！！！！！！！しんじゃう！！！大好きです！！ありがとうございます！！ (2022年3月22日 15時) (レス) @page50 id: 8a217b576f (このIDを非表示/違反報告)
レイ - えrいけどシッマかわえぇぇぇぇ！！！！！！！！！！！ (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 最高かよぉ〜〜〜 (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お茶
| 作成日時：2020年4月2日 21時
