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ハッピーエンド32 ページ32

彼の少し冷たい手が、私の手を掴んだ。

優しく繋がれ、鼓動が加速していって。

リードするようにゆっくり歩き始めたので、合わせて歩く。

近くて、暖かくて、心地よくて。

どうしよう…すごい幸せだ。

沖田さんといると、初恋のような気持ちに戻るのは何でだろう。


「Aさん」


「は、はい!」


大きい声で返事をすると、彼は少し大人っぽく笑う。

緊張してるのがバレバレだ。


「下の名前、どうして呼んでくれねぇんですかィ」


「へ?」


「旦那のことは銀さん銀さん呼んでるくせに、俺はいつまで経っても沖田さんじゃないですかィ」


大人っぽいって、うん。

確かに思う。

けど、今の沖田さんは…可愛い。

頬を少し膨らませ、ふてぶてしく目をそらす。

嫉妬…?


「なんて呼べばいいんでしょうか」


「そーちゃん」


「ぶぅぅぅ!!!」


思わず吹き出す。

ゴホゴホとむせてしまい、涙が出てきた。

そ、そーちゃん…なぜそーちゃんなのか。


「あんた俺より歳上じゃないですかィ、ちょっと呼んでみてくだせェよ」


「い、いやいやいやいや!呼べませんよそんな!!」


一番隊隊長として恐れられてる沖田さんとは思えない。

というか、未だに歳下だとも思えない。

十八歳…未成年の彼氏をそーちゃん…。

…ん?未成年?

私犯罪にならないのかしら。

今度は冷や汗がダラダラと流れ始める。


「よーんーでーくーだーせぇーよー」


そんな私にお構いなく駄々をこね始める沖田さん。

そ、そんないきなり呼び方変えるなんて…。

私は何とか頭をフル回転させる。


「じゃ、じゃあ…」


そこで、思いついた呼び方。


「総悟、くん」


いい歳した女が、照れて小声になる。

チラッと沖田さん…総悟くんを見れば、目を見開いていた。


「…その方がいいですねィ」


嬉しそうに、彼は口角を上げた。

よ、よかった。

気に入ってくれたみたい。

ご機嫌になった彼は、ギュッと握った手に力を少し込める。


「どうしてそーちゃんだったんですか…?」


ただの純粋な疑問。

どうしてそう呼ばれたかったか、聞いてみたかった。

すると、総悟くんは笑顔をゆっくり萎ませた。

厳密に言えば、どこか遠くを見つめて懐かしむような視線に変わる。


「俺の好きな人が、そう呼んでくれていたんでさァ」


総悟くんの、好きな人…?

優しい声音に、少しだけ伏せるまつ毛。

そして、呟くように、その人の名前を口にした。


「沖田ミツバ、俺の姉上でさァ」

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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