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ハッピーエンド23 ページ23

〜沖田side〜

変な女。

それが俺のAさんに抱いた、第一印象だった。


初めて彼女を見た時は、書店だった。

非番だった俺は、本でも読もうと気晴らしに寄ってみたのが、多分彼女行きつけの書店屋だったのだろう。


雑誌をペラペラめくりながら突っ立ったいると、本屋だと言うのにデカい泣き声が響き渡った。

目を向ければ推定三歳のガキが座り込こみ泣いていて。

そのガキからスーッと視線を持ち上げれば、若い女が顔を真っ青にして立っていた。

…母親か?にしては若すぎるな。じゃあ姉貴か。

もう一度ガキに視線を戻せば、何か手に持っていて。

それは缶ジュースであり、しかもその女のズボンにビッシャリ中身がかかっていた。

あー…あのガキが遊んでたか走ってたかでぶつかったんだな。

しかも、棚に置いてある一冊の絵本にもかかっている。

すると、バタバタともう一人女が走ってきた。

こっちが本物の母親か。

ペコペコ頭を下げながら、オレンジジュースぶっかけられた女に謝っている。


「いいんです、気にしないでください」


愛想笑い上手いなー。

あれ絶対キレてんだろ。

俺ならもっと顔に出すねィ。


何度か謝罪した母親に笑顔で最後までやりきった女は、ふうっとため息をつく。

そして、棚に置いてある濡れてしまった絵本を手にとった。

…母親に見えねぇように、自分の背中で隠してたな。

そのままレジへ持っていき、頭を下げながら会計をしていた。

あぁいう人が良すぎんの見てると、気持ち悪くなるねィ…。

普通キレんだろ。それに、弁償するのはあんたじゃねぇ。

あれこれ頭の中で考えていたら、既に彼女は行ってしまっていた。


次の日。

勤務中にも関わらず、俺はまたあの本屋へと足を運んだ。

あの女に会うためじゃねぇ。

と、何故か自分に言い聞かせながら。

入店すれば、あの女がいて。

そばには距離が近い男が立っていた。

…今日は彼氏さんとなんすねィ。

日曜日の昼間に本屋デート。

随分幸せそうに笑うんだな。

隣に立つ男は、長身の色男だ。

髪色は明るく、スタイルもかなりいい。

女は本に夢中なようでニコニコしながら文を目で追うが、彼氏の方は女を微笑ましく見ている。

…ふーん、随分幸せそうだねィ。

あれが世に言うバカップルってやつですかィ。


その後、俺はすぐ本屋を出た。

うーんと背伸びをし、首を鳴らす。


「もう少しサボるか」


そう欠伸をしながら、歩き出したのだった。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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